在籍最長18年目の打撃職人が強烈な刺激を与え、チームに今季初勝利をもたらした。ソフトバンクは1日の日本ハム戦(エスコン)に5―1で快勝し、開幕からの連敗を3で止めた。昨季のリーグMVP・近藤健介外野手(31)が近日中に腰の手術を受けることになり、長期離脱が決定。チームの窮地を「2番・DH」で出場した中村晃外野手(35)が救った。
有事がなければ、今季のスタメン起用はなかったはずの男が気を吐いた。初回の第1打席で先制点をお膳立てする右前打。続く2回は右前適時打を放ち、相手エース・伊藤に大ダメージを与えた。小久保監督は「晃が1、2打席目、あれで流れを持ってきてくれた」とたたえ、5回に貴重な一発を放った今宮も「晃さんがああいう姿を見せてくれたからこその1勝」と最敬礼だった。
今季は小久保監督との話し合いで、代打に専念することが決まっていた。だが、試合前に指揮官は「前言撤回になるが、代打一本のところを栗原、近藤がいない状況でDH、一塁を了承してもらった」と説明。戦略的方針の大転換だった。
シーズン前、膝を突き合わせて選んだ道があった。小久保監督からの「グローブを置いてもいいよ」という重たい言葉は、中村が先んじる形で「チームが一番勝つことを考えた時に、グローブを置いて代打に専念した方が、より求められる役割に集中できる」との思いで自ら申し出たことへの返答だった。チーム編成、今後の野球人生に考えを巡らせての決断だった。
ただ、指揮官との話し合いの中で、有事の際には代打専念を解かれることは想定されていた。この日、球場入り前の宿舎の監督室で、方針転換が決定。「2人で覚悟を決めて入ったけど、アクシデントがあった時に約束を守り通すか、少しでもチームが勝つ確率を取るか。1日半迷って勝つことを優先した」(小久保監督)。
この日、中村は「準備」というワードを何度も繰り返した。代打専念が決まっても、あらゆる有事を想定。「スタメン起用ゼロ」の可能性を理解した上で準備を怠らなかったからこそ、流れを呼び込む必然の2安打が生まれた。












