【元局アナ青池奈津子のメジャー通信・番外編】「人生で初めての優勝だったんだ。子供の頃にも優勝したことがない。だからとても特別だし、光栄なこと。僕らはこの優勝リングをつけるために野球をやっているのだから」

 ドジャースのロッカールーム。この日、試合前に行われるリングセレモニーについて話していたアレックス•べシアの次の一言で衝撃の事実が判明した。

「僕はサイズ12を注文したんだ。それだったら右左の中指に合うから、場面に応じて選んで付けられると思って」。優勝リングは欲しいサイズを事前に選手が選んで注文する、というのだ。

 考えてみれば当たり前なのだが、デザインばかりが楽しみでどの指につけるかまで思ってもいなかったのであわてて選手らに聞いて回った返答がそれぞれ面白いので紹介したい。

 ミゲル•ロハスは「僕は右のリングフィンガー(薬指)にしたよ。ディナーかパーティーかチームメイトのイベントなのか、特別な機会につけたいと思う」。

 実は、アレックス以外はほとんどが「右薬指」の回答だった。

 クリス•テイラーは「2020年と同じ右薬指にした。二つ同時につける予定はないから(どの指にするか)深く考えなかったんだけど、実際、普段は全く付けない。前回はホワイトハウスに行った時だけ付けたから、今回も同じようにホワイトハウスへ行くときにつけようかと思う。4年前のは箱の中に入れて安全な場所に保管していて、いつか孫ができた時に見てもらえたらいいな」。ちなみにクリスの長男テオくんはまだ1歳半にも満たないのだが…。

 指輪を付けるか否か、展示か保管かでも意見が色々あり、それぞれの個性がうかがえる。

 トミー•エドマンは質問に一瞬、「あれ?どの指だっけ?」と目を広げて考え、「困ったな…、覚えていない。多分、右の薬指にしたんじゃないかな。左に結婚指輪をしているから。多分80パーセントの確率で右薬指だ。とてもとても特別な時につけるつもりだけど、とても高価だから気軽につけるのは怖いね。でも、時々自慢して見せられたら楽しそう」。

 今回で3つ目のリング獲得となるムーキー•ベッツは「僕は指輪はつけない。だからサイズを選んでない」とあっさり。過去2つも全く着用していないのだそう。「飾ってはあるけど、つけてはいないよ。だから、適当なのをくれと頼んだ。僕は自分の(結婚)指輪のサイズも知らないさ」

「今回こそは右の薬指にした」と意味深だったのはマックス•マンシー。

「なぜなら、2020年の指輪をそこにつけようとして左手の結婚指輪と同じサイズを頼んだら、指に入らなかったんだ。片手でキャッチして、違う片手で投げるから、野球選手の指のサイズは違うことが多いんだけどね。20年の指輪は右手の小指がピッタリ合う」

 大真面目なマックスに「次のリングは右手中指だね」と伝えたら笑っていたが、マックスは、リングは普段つけるものではないという。

「僕にとってあの指輪は、優勝するゴールのために注がれた努力、献身、汗を象徴するものなんだ。あまりにも象徴的すぎて、ちゃんと扱えたとしても、実際につけるのは違うと思ってしまう。だから、つける気にならないんだ」

「今、この瞬間、僕がいないときは鍵がかかったところにしまっているけど、家にいるときは飾るようにしているよ」。自宅にあるレプリカのトロフィーの下にしっかり飾る場所があるのだそうだ。

 デーブ•ロバーツ監督も「2020年と同じ右薬指にしてしまった。同じ時に2つをつける予定はないから、この指が1番いいなと思って選んだんだ。特別な機会、ゲストで呼ばれて人前で話したりするときにして行こうかなと思う。もっと出して身につけた方が良いのだろうけど、どうしても奥にしまっておいてしまうね」。

 耳寄り情報がある。もし本物の優勝リングを見たかったら、スタン•カステン社長を探すといい。

「過去のリングはいくつか持っているけど、時々取り出して見比べたりしているよ。それもまた楽しいもんだ。私はこういうリングをいくつも手にする幸運に恵まれているし、今後ももっと増やしたいね」と、この日誰よりも笑顔で語ってくれたカステン社長。

「私はもちろん付けるさ。球場を歩き回っていると、ファンらがリングを見たがるからね。彼らとシェアしてこそ、喜びも増すんだ。だから、私はいつだって立ち止まってリクエストに応えているよ」

 リングを3つ持つカステン社長に同時につけないのかと聞いたら「いやいや、それはやりすぎでしょ。以前、ある選手が全部つけて女性の気を引こうかなって言うんで、私は彼に言ったんだ。『そんなのに頼る必要があるなら、お前にはチャンスなんてないぞ』ってね。ははは」。

 試合中、ドジャース広報が報道陣のためにエバン•フィリップスのリングを記者席に持ってきてくれたのだが、「まばゆい」という言葉以外何も思い浮かばぬ豪華さだった。