それでも世界一の有力候補とは断言できない。今オフのFA争奪戦で目玉だったフアン・ソト外野手(26)を獲得したメッツにシビアな目が向けられている。

 米ポッドキャスト番組「ベースボール・トゥデイ」でツインズなどで活躍したトレバー・プルーフ氏(38)が、今季のメッツについて言及。ワールドシリーズを制するためのキーポイントは新加入のソトのような個々の選手に頼ることではなく、あくまでもメッツ全体のチームバランスになるという「正論」を強調した。

 ソトは昨季終了後にヤンキースからFAとなり、昨年12月8日(日本時間同9日)にドジャース・大谷翔平投手(30)を超えるスポーツ史上最高額の15年総額7億6500万ドル(約1147億円)でメッツと契約。メッツファンが狂喜乱舞し、有識者の間からもメッツを今季の世界一候補として挙げる声が地元ニューヨーク周辺で強まる中、元メジャーリーガーで人気コメンテーターの同氏が過剰な〝ソトフィーバー〟にくぎを刺した。

 番組内でプルーフ氏は「フアン・ソトだけではワールドシリーズ(WS)には行けない。彼はワールドシリーズに大きな影響を与えるかもしれない。決勝打を打つかもしれないし、いろいろなことがある。しかし、野球は1人だけのスポーツではない」と発言。そして「ファン・ソトは全力を尽くすだろう。もし彼が10年間にわたって非常に素晴らしい活躍を見せながらシーズンを送り、チームはワールドシリーズを制覇できなかったとしても、それは彼の責任ではないはずだ」とも説明した。

 こうした見解が正しいことを証明すべく、プルーフ氏は昨今のMLB界の大物たちとの比較を掘り下げ、自らの主張を次のように続けている。

「ケン・グリフィー・ジュニアやマイク・トラウトのように、ただ自分の仕事をこなすだけでワールドシリーズに出場できない選手もいる」

 米野球殿堂入りも果たしているケン・グリフィー・ジュニア氏(55)は22年間にわたり、MLBで活躍。歴史に名を刻んだが、在籍したマリナーズ、ホワイトソックス、レッズの3球団で一度もワールドシリーズに出場できなかった。エンゼルスの「レジェンド」マイク・トラウト外野手(33)も球団生え抜きながら、ポストシーズン進出は2014年の一度のみでリーグ優勝決定シリーズが最高位。こうした事実があるからこそプルーフ氏は「繰り返すが、野球は1人の男がチャンピオンシップをもたらすようなスポーツではないんだ」と強く訴えている。

 プルーフ氏の発言を取り上げているインド系メディア「スポーツキーダ」は、今季のメッツがフランシスコ・リンドア内野手(31)やピート・アロンソ内野手(30)らの強力打線にソトを加えたことで「大幅な得点力アップにつながるはず」と分析。「台風の目」になるとも予測している。とはいえ、これらの巨大戦力がチームとして機能せず歯車がかみ合わなければ、プルーフ氏の〝警告〟のように宝の持ち腐れとなる。

 昨オフに大谷を獲得し、圧倒的な世界一候補と目されていたドジャースは下馬評通りに昨年のワールドシリーズを制した。くしくもソトは昨季ヤンキースの一員としてワールドシリーズを戦ったものの眼前でドジャースに敗れ、辛酸をなめている。今季は大谷のように新天地で初の頂点に輝き、1年越しの屈辱を晴らすことができるのだろうか。