陸よ、波だ──。宮崎春季キャンプを視察するソフトバンク・王貞治会長(84)が21日、正捕手候補の一人である渡辺陸捕手(24)に打撃指導を行った。

 20日から再び宮崎を訪れている王会長。この日も長時間グラウンドに立ち、鍛錬に励む選手たちに視線を送った。リチャードや笹川など大砲候補たちに期待をかけ、威勢のいい声でノックを受けていた捕手陣を見ると「元気がいいな」と目を細めた。

 そんな王会長が練習の終盤、捕手陣がバットを振り込む中で歩み寄ったのが、プロ7年目を迎える渡辺だった。ティー打撃を見つめたのち、声をかけ身ぶり手ぶりを交えながら打撃指導を行った。その後も渡辺がゲージでバットを振り込む様子をじっと見守った。

 一体どのような助言があったのか。渡辺に聞いてみると「バッティングは波と一緒だ」と言葉をもらったという。

 打撃と波、一見交わらない2つだが、渡辺は「波は引いたら押し返す、それと一緒だと。体重移動ですね」と会長の助言を説明した。テイクバックの状態を引いた波、そこから打ちにいって体重を移動させる段階を押し返す波と捉える会長なりの表現に「イメージしやすい」と背番号00はうなずいた。

 他にも「(打撃の中で)幅をつくれ」というアドバイスも。「しっかり前で打てるから詰まることができる。前で打てなかったら後ろのポイントで打つか詰まるかしかない。泳いでもいいから前で打てるポイントがあった方がいい」と教えを受けた。

 渡辺は2022年の春季キャンプで王会長に自ら指導を仰いだ選手。その年に一軍デビューを果たすと、初打席から2打席連続弾を放った。ここ2年は一軍出場がなかったが、今季は甲斐が抜け大チャンス。ティー打撃の際には会長から「いい感じだ」との言葉をもらった。

 ここからは対外試合を含め実戦が増えてくる。し烈な正捕手争いを勝ち抜くため、渡辺は「やることは変わらずしっかり打ってしっかり守って。暴れまわりたい」と鋭いまな差しで語った。王会長の金言も生かし、ひとつしかない正捕手の座を狙っていく。