伝統のベルトはよみがえるのか。新日本プロレス「NEW JAPAN CUP」決勝戦(20日、長岡)は、「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(LIJ)」の辻陽太(30)が後藤洋央紀(44)を撃破し、初優勝を飾った。4月6日東京・両国国技館大会でのIWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也(41)との同門王座戦が決まり、早くもベルト奪取後の青写真を披露。2021年に統一された最高峰王座の〝分解〟を団体側に要望する。

 序盤から怒とうの猛攻にさらされた辻だったが、後藤が今年1月に退団した元盟友オカダ・カズチカの必殺技・レインメーカーを狙ったところで、カウンターのジーンブラスター(スピアー)を発射。最後は正調ジーンブラスターで出場28選手の頂点に立った。

 リング上で内藤に宣戦布告した辻は「覚悟はいいか! 新時代の幕開けだ!」と高らかに宣言。LIJ同士の王座戦へ闘志を燃やす一方で「まずは内藤哲也に勝つことに全力を尽くす。ただ俺にはその先のビジョンがある。内藤哲也に勝って、新日本の最高峰のベルトを手に入れて、やらなきゃいけないことがあるんだ」と言い切った。

 いったい何なのか。大会後に本紙の取材に応じ、IWGP世界ベルトの〝分解〟を狙っていることを明かした。現在の最高峰王座は2021年3月にIWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル(IC)王座の統一によって誕生した。

 しかし、辻は「そもそもしっくりこないんです。新日本の至宝はIWGPヘビー級というイメージが強いので。もちろんコロナという原因もありましたけど、あのベルトになってから新日本は業績も悪化して、皮肉にもあのベルトを巻いた人たちがどんどん〝世界〟へと旅立ち…。胸を張って堂々と新日本の最高峰だと言っていいのかなと」と問題提起する。

IWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也への挑戦が決まったNJC覇者・辻陽太
IWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也への挑戦が決まったNJC覇者・辻陽太

 統一から3年で誕生した歴代王者7人中、4人(オカダ、ウィル・オスプレイ、飯伏幸太、ジェイ・ホワイト)が新日本を退団。米AEWに主戦場を移している現実を見つめた上での、偽らざる本心だ。

 さらに「俺は内藤さんが分解すると思ってたんですよ、正直なところ。ただよく考えてみると、内藤さんは最後の最後まで反対した上で、統一を防げなかった。今さら分解するのは、筋が通らないんだってことに気づいたんです」と力説する。

 21年2月の大阪大会で、統一反対を掲げた内藤は当時の2冠王者・飯伏のIC王座に挑戦するも敗北。これが決め手となったのか、試合翌日にIWGP世界王座の新設が発表された。「だから俺自身がやるしかない。内藤哲也にできないことを俺がやりたいと思ってます」(辻)

 新時代の幕開けを宣言した男が、かつての最高峰王座復活の野望を掲げるのも何やら複雑な話だ。それでも「もちろんこれまでIWGP世界を取った、新日本を去っていった王者たちへのリスペクトは忘れません。でも、その意志を継承した上で〝元の姿〟に戻すことが必要なんじゃないかと」ときっぱり。1987年に設立され、初代王者に団体創設者・アントニオ猪木の名が刻まれた伝統のベルトが、再びセルリアンブルーのリングに戻ってくることはあるのか。新時代の旗手の一挙手一投足から目が離せない。