【取材の裏側 現場ノート】知名度か、実力か――。日本の総合格闘技界が直面している現状に、元UFC世界ヘビー級王者ジョシュ・バーネット(46)が私見を語った。

 日本格闘技界で何かと話題に上がるキーワードに「知名度」がある。SNSの浸透もあって実力と同様か、時にはそれ以上に重視されるようになった。これを良しとするか、あしとするかは人それぞれで、たびたび議論を呼んでいる。そこで先日「ブラッドスポーツ 武士道」(6月22日、東京・両国国技館)の開催発表会見で来日していたバーネットにこの論争の意見を求めた。

 すると格闘技の最前線を20年以上にわたり歩んでいるバーネットは「タレント性と実力の問題は今に始まったことではない。形を変えていつでもあったことだと思う」と断言する。それを踏まえ「全盛期のミルコ・クロコップやエメリヤーエンコ・ヒョードル、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ヴァンダレイ・シウバはもともとタレント性が強かったわけではない。顔がいいわけでも踊れるわけでもなかった」と指摘。そして「にもかかわらず本物の実力でみんなの心を打ったんだ。どうしたらそうなれるかを選手は常に考えないといけない」と呼びかけた。

 一方で「例えば前田日明さんはノゲイラや高阪剛など多くの選手を発掘しスターにした。そうした力を団体が持たないといけないと思う。今はSNSを使ってタレント性を持つ選手の知名度を簡単に上げられる時代だ。だが、だからこそ、それを超える才能を持つ選手を発掘することが必要なんだ」と力説。さらに日本の格闘技に精通するバーネットらしく「『Breaking Down(BD)』が決して『PRIDE』や『K―1』にならないことは分かるはずだ。だからこそ、しっかりと今までの歴史を生かしてつくっていくのがベストだと思う。もちろんBDが悪いといっているのではなく、もっと人気が出るなら彼らはそのまま突き進んでほしい」と締めくくった。

 日々状況が変わる格闘技界。これからどんな方向に向かうだろうか…。

(格闘技担当・前田 聡)