新日本プロレスの頂点に君臨し続けたオカダ・カズチカ(36)が、24日の札幌大会でセルリアンブルーのマットに別れを告げた。今後は米国マット進出が確実で、最後の雄姿に多くのファンが酔いしれただけでなく、IWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也(41)からはサプライズも用意された。オカダと内藤、近年のプロレス界をけん引してきた両雄は今、何を思うのか。

 オカダにとって最後の新日本マット参戦となった札幌大会。メインでSANADAを退け、IWGP世界王座のV1に成功した内藤に呼び込まれてリングインした。グータッチと見せかけた襲撃に対しレインメーカーを狙うと、内藤と笑みを浮かべ合った。最後はリングを隔てて互いに拳を突き上げ、2007年8月26日のオカダの新日本プレデビュー戦(後楽園)から始まった2人の物語に幕が下ろされた。

 若手時代には道場の相部屋で生活し、ともにトップレスラーとなってからは、常にプロレス界の中心を競い合ってきた特別な間柄。最後の邂逅は制御不能流の粋な計らいだった…ハズなのだが、何と内藤は一番伝えたいことを言い忘れてしまったという。

 そこで記者を緊急招集し「2020年1月5日の試合後の俺のマイク、覚えてるだろ? 『東京ドームのメインイベントでまた勝負しようぜ』って言葉、忘れるなよ、とオカダに伝えておいてくださいよ」と伝言。「新しい挑戦をするなら、成功して今以上のオカダになって、また俺の目の前に立ってほしい。でも、一番やらなきゃいけないのは、オカダを『残っておけばよかった』と後悔させること。そのくらい新日本プロレスを魅力的なリングにしたいですね」と抱負も語った。

札幌大会のメーン終了後、オカダ(左)を呼び寄せた内藤
札幌大会のメーン終了後、オカダ(左)を呼び寄せた内藤

 オカダは帰京した25日に取材に応じ、内藤からのメッセージを伝え聞き、笑みを浮かべた。

「(内藤は退団者に対して)『行くなら出ていけよ』みたいな感じじゃないですか、どちらかというと。それだけ特別だと思ってくれてるんですかね。それはうれしいことですし、だからこそ次もしっかり活躍しなきゃダメだなと」

 ドームメインでの再戦呼びかけに対しては「もう僕は次を見てるし、新日本に戻ってくることはないくらいのつもりで出ていくので。それはちょっと申し訳ないけど、ないかなと思いますね」としながらも「もちろんその気持ち、もらった言葉は大事にしたいですね。内藤さんも、そう言うからにはずっとトップでいてもらわないと困りますから」と思いはしっかり受け取った。

 切磋琢磨して団体をけん引してきただけに、自身の退団によって内藤の立場も変わる。オカダは「内藤さんの方が年上ですけど、ちゃんと引っ張っていってよって。そこまで心配してないですけど、本当にリードしていってほしいというか。お客さんだけじゃなく、選手も。どれだけ好き放題やっても『内藤哲也についていったら間違いないよね』と言われることをしてくれたら、うれしいですよね」と、今後の新日本を託すエールを送った。

 一つの時代の終わりは新しい時代の始まりだ。オカダは米国マットに進出することが確実だが、リングは海を隔ててつながっている。プロレス界に一時代を築いた2人が、リング上で再会する日は訪れるのか――。