ポジティブに捉える方が良さそうだ。日本ハムからポスティングシステムでメジャー移籍を目指していた上沢直之投手(29)が11日(日本時間12日)、レイズとマイナー契約を結んだ。今春のスプリングトレーニング(春季キャンプ)は招待選手としての参加となる。厳しい条件下での移籍に不安の声もささやかれるが、MLB関係者の中には「今のレイズなら、マイナー契約でも十分活躍できるチャンスはある」と上沢の契約を評価する声もあるという。一体どういうことなのか。

 ポスティングシステムの期限(日本時間12日午前7時)から約4時間が経過した後、レイズから上沢とのマイナー契約が発表された。複数の米メディアによれば、レイズ側は上沢がメジャー昇格を果たした場合には年俸などの条件が上がる「スプリット契約」で妥結したという。

 フロリダ州ポートシャーロットで行われるチームの春季キャンプには、招待選手としての参加が決まった。生き残りをかけたシ烈な戦いを強いられる上、メジャーでプレーするための最低条件である「40人枠入り」の保証すらない過酷な状況となる。来月30歳を迎える右腕にとって今後「いばらの道」であることは容易に想像できるため、早くもファンの間では「日本ハムに残留したほうが良かったのではないか」や「今年日本ハムで好成績を残し、来季再度挑戦すればいいのに」という悲観的な声も飛び交っているのが現状だ。

 だが、メジャーを熟知するMLBスカウトらの間では、意外にも今回の上沢の決断は好意的に受け止められているという。その理由はレイズのチーム事情が大きく絡んでいる。

 あるMLBスカウトの1人が、その実情をこう漏らす。

「確かにスプリット契約とはいえ、マイナーからメジャー昇格を勝ち取るのは簡単ではない。ただ、他球団ならともかく、レイズは現時点で先発ローテーション投手が著しく不足している。レイズは昨季2桁勝利を挙げた先発投手が計3人いたが、今季計算できるのはチームトップの16勝を挙げた右腕エフリンぐらいだ。11勝を挙げた左腕・マクラナハンは、昨シーズン中に左ヒジ手術を行った影響で今季は絶望的。10勝を挙げた左腕・グラスノーはオオタニ(大谷翔平)がいるドジャースへ移籍した」

 さらに同スカウトは「残りの先発投手も故障中だったり、成績が乏しいので、この状況下ならウワサワでもオープン戦で結果を残せば、十分活躍できる可能性はある。おそらく本人もこうしたチーム事情を理解した上で、マイナー契約を受け入れたはず。賢い選択だったと思う」と太鼓判を押す。

 レイズは昨季ア・リーグ東地区2位。プレーオフで世界一に輝いたレンジャーズに敗れたが、今季も伸びしろのある若手を中心に上位進出を狙う。

「若手との競争が必至とはいえ、確実にウワサワにもチャンスは与えられる。レイズはそういうチームなので、あとは本人のやる気と結果次第だ。開幕前のメジャー昇格も夢ではない」(前出のスカウト)

 周囲の下馬評を覆し、異国で飛躍を遂げられるのか。上沢の「アメリカンドリーム」実現に注目が集まる。