【赤ペン! 赤坂英一】米大リーグのタイガースと2年総額2400万ドル(約36億円)で契約した前田健太(35)は、球団から投手陣のリーダーになることを求められている。スコット・ハリス編成部長は期待の程をこう語った。

「若い投手たちを手助けしてもらうために、先発ローテにベテランを加えたかった。前田がチームの勝利に貢献し、若手にいい影響を与えてくれることを期待してるよ」

 タイガースは今季13勝のロドリゲス(30)がFAとなったため、先発投手は7勝のスクーバル(27)、5勝のマニング(25)、オルソン(24)ら全員20代。ただ一人30代の前田は、移籍1年目の来季、いきなり先発陣の精神的支柱かつアドバイザー的役割を担う。

 そこで思い出されるのは、前田が常々、「野球のすべてにおいて影響を受けた」というダルビッシュとの交友だ。前田がツインズ、ダルビッシュがカブスに所属していた2020年、彼らは互いの持ち球の握りと投げ方を教え合い、しっかりと有効な武器にしている。

 最初は前田がダルビッシュにツーシームの投げ方を教わった。「ダルビッシュさんの言う感覚で投げてみたら、メッチャ良かった。今までにない変化をして、ゲッツーが取れたんです」と当時の私の取材に答えている。

 その後、今度はダルビッシュの方が前田に「チェンジアップの投げ方を教えてほしいんや」と依頼。翌日、早速この球で相手打者を三振に仕留め「この先、大きな球になる」と話していた。

 ダルビッシュはさらに前田に動画を送り、その中で「前田には1回チェンジアップの握りでツーシームを投げてほしい」と提案。「それにメチャクチャ興味があって、考えてたら昨日の夜寝られんかった」と興奮して語っていたほどだった。

 そんなダルビッシュの薫陶を受けて「僕自身、ダルビッシュさんのようにいろいろなアイデアが浮かぶようになり、技術的にも向上できました」と前田は強調していた。だから「自分も後輩に聞かれたら何でも教えていこうと思います」と。

 広島のエースだったころから、前田はいつも率先して後輩を励まし、引っ張っていた。自主トレ中に「チームマエケン」を結成し、阪神の藤浪(29、オリオールズからFA)ら他球団の選手も快く受け入れている。

 前田はその当時すでに「どこのチームでも、後輩に僕の感覚を教えて、新しい何かをつかんでくれればうれしい」と話していた。この姿勢がタイガースで大きな成果を挙げることを期待したい。