勝負はまだまだこれからや! 阪神は1日の日本シリーズ第4戦(甲子園)でオリックスに4―3で劇的なサヨナラ勝ち。最後は大山悠輔内野手(28)のひと振りで2勝2敗のタイに持ち込んだ。紙一重の勝負で勝因はいくつも挙げられるが、岡田彰布監督(65)が佐藤輝明内野手(24)に見せた“非情交代”もその一つ。38年ぶりの日本一へ、心を鬼にして突き進む。

 聖地が地鳴りのような大歓声に包まれた。同点の9回一死満塁の絶好機で大山が放った打球は三遊間を抜けて左前へ。負ければ、オリックスに日本一に王手をかけられる土壇場で勝利をもぎ取った。前夜、空振り三振で最後の打者に終わった屈辱を晴らした。

 状況的には満塁策を選択したオリックス側に前打者を2者連続で申告敬遠され、猛虎不動の4番が勝負を挑まれた格好。ある意味では“ナメられた”とも受け取れる戦略だったが、当の大山は「別に何もないです。ランナーをかえせば勝ちなのでそれしか考えてませんでした」と冷静に振り返った。岡田監督の「最後、あそこで打たんともうアカンやろ。ハッキリ言うて。1年間、4番張ってきたわけやからな。それは」との言葉からも主砲への信頼がにじみ出た。

 先発した才木は5回1失点で降板。その後は桐敷、石井、島本、湯浅、岩崎と計6人のリレーでどうにか振り切った。岡田監督も「もう少しすんなりと早く終わらないといけないんですけど、これがシリーズかな…」と苦笑いだったが、指揮官の“非情采配”もチームを引き締めたとの見方もある。

 それは「6番・三塁」で先発起用した佐藤輝への采配だ。3―1の7回の守備で先頭打者の広岡の打球をファンブル。この失策をきっかけに2点を失って同点に追いつかれた。なおも一死一、二塁までピンチが広がると、岡田監督は投手交代と同時に佐藤輝の6番の打順に3番手・石井を入れ、佐藤輝の三塁には「9番・糸原」を入れたのだ。もちろん、次の7回の攻撃が9番から始まる打順だったこともあるが、これまでにない采配に甲子園の大観衆も大きくどよめいた。

 この日の佐藤輝は、守備だけでなく持ち味の打撃でも3打席連続三振を喫していた。もちろん、打てない時は誰にでもあるが、攻守の両面で精彩を欠いたとなれば話は別だろう。しかも、わずかなミスが致命傷となる短期決戦。これまでにも岡田監督はこう力説していた。

「打席で打てないのは技量の問題。でも、守備で捕れる打球をしっかり守れない。これはチームのマイナスやろ?」

 打撃が不振に陥っても最低限の守備もできなければ、レギュラーとしては看過できない。この交代後は綱渡りながらも無失点でしのぎ、大きな1勝を手にすることにもつながった。

「もう、あんまり試合ないで」(岡田監督)。悲願の日本一まであと2勝。背番号8の奮起が待たれる。