イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの陸海空からの大規模な攻撃が秒読み段階に入っている。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスの掃討に向けたこの作戦を巡っては、「第5次中東戦争」や「第3次オイルショック」につながりかねない最悪シナリオに世界が震えている。


 今月7日に突如、ハマスはイスラエルにテロ攻撃を仕掛けた。イスラエルは即座に砲撃や空爆で報復し、地上侵攻を含む総攻撃を宣言した。予備役兵約36万人を集め、ガザとの境界付近に戦車部隊が展開。北部住民には15日までに3度にわたって南部への避難を通告しており、いつ大規模攻撃に踏み切ってもおかしくない状況だ。


 ガザ地区は種子島ほどの広さに約220万人が居住し、人口密度は世界一ともいわれる。避難勧告の対象は約110万人に上る。


「避難は困難を極め、住民全員が逃げるのは不可能。イスラエルによる空爆や地上攻撃が始まれば、四方が壁に囲まれ逃げられず、また穴蔵のように迷路状になっているため長期間にわたって作戦は続き、数万、数十万単位の民間人の犠牲者が出かねない」(国際政治アナリスト)


 中東情勢を取り巻く関係は複雑だ。イスラエルを支持しているのはアメリカを筆頭にした西側諸国。アメリカは地中海に展開している原子力空母ジェラルド・フォードに加え、空母ドワイト・アイゼンハワーの派遣を指示し、周辺国への圧力を高めている。


 ハマスに対してはイランが支援しており、7日の攻撃でも武器を提供していたとされる。イスラエルがハマス掃討作戦に出れば、イランは介入を示唆。さらにイランの支援を受けるレバノンの民兵組織ヒズボラが混乱に乗じてイスラエルとの国境付近で同国軍と衝突している。イスラエルも既にシリアの空港に空爆を行っており、イランの後ろ盾を受けるアサド政権との本格衝突も危惧される。


 前出アナリストは「イランが直接関与しなくても伝家の宝刀である『ホルムズ海峡閉鎖』という手に出る可能性は大いにある。その場合、中東に石油の9割を依存している日本への影響は大きく、ロシアのウクライナ侵攻による資源高の中で、さらに石油や天然ガス、燃料費の高騰は避けられない」と第3次オイルショックを懸念する。


 事態が悪化すれば、世界各地でテロの連鎖となりかねない。「すべてはイランの出方次第で、第5次中東戦争になるかもしれない。イランにメリットはあまりないので、プチ衝突で済むことを世界は祈っている」(同)


 イスラエルのガザ攻撃はもはや不可避とみられている。ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、世界的規模に及ぶ戦火の危機に直面する危険をはらんでいる。