ライバルとは最終的に15・5ゲームという大差が開いた。ソフトバンクは9日のオリックス戦(京セラ)に1―4の敗戦。引き分け以上で2位フィニッシュが決まったが、順位確定は10日の楽天―ロッテ戦の結果次第となり、3位転落の可能性を消すことができなかった。

 3年ぶりのリーグV奪回を目指したが、オリックスに独走の3連覇を許した。直接対決は11勝13敗1分けと善戦したが、ペナントレースは15ゲーム差以上を離されての屈辱的なV逸。完敗を受け入れざるを得なかった。

 藤本監督は2年前の監督就任時「中嶋監督がやっていた野球をやりたい」と敵将を教科書に攻めの采配を掲げていた。育成面でも「二軍で見てきた選手をうまく引き上げている。自分もそういう形で使っていきたい」とも語っていた。チーム内でもオリックスをV3に導いた中嶋監督の勝負勘、器量、マネジメント能力などをたたえる声は多い。

 レギュラーシーズン最終戦、チームの勝敗とともに注目点があった。それは近藤健介外野手(30)の3冠王のゆくえ。一発を含む3打数3安打以上で本塁打、首位打者のタイトルをつかむ可能性が残されていた。打率トップは4厘差で、左足甲骨折で最終戦欠場が決まっていたオリックス・頓宮。ゆえに最終戦の相手であるオリックス側の近藤への攻め方が野球ファンを中心に関心を集めていた。 

 ただ、鷹陣営からは「勝負を避けられるのではないか」といったいぶかしがる声は聞こえてこなかった。あったのは「中嶋監督はここで勝負を避けてまで頓宮に(首位打者を)獲らせるような人じゃない」(チーム関係者)という見方だった。そこまで言い切れるソフトバンク首脳陣、選手、スタッフの敵将へのリスペクト。それは近藤の3冠王を巡る流れの中でもうかがえた。

 器の大きさを見せつつ、的確な采配で敵も味方も魅了する中嶋オリックス。絶対王者の強さの秘密は理解している。差を埋めなければ、ソフトバンクの下克上日本一は見えてこない――。