【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】エンゼルスのクラブハウスのスタッフの気の良いジムさんが、段ボールをカートに積んではいつも以上にせわしなく動いている。この数週間、選手たちの荷物の運び出しに忙しいが、最後の猛ダッシュ中だ。ケガをして試合に出られない面々の多くはもうロッカーから荷物を片付け、あいさつもできないまま、すでに球場を去ってしまった。
例年、シーズンは慌ただしく終わるイメージだが、今年はロサンゼルスにめったに降らない秋雨とともに、やたらと寂しさが募る終わり方だなと感じる。見慣れない選手も増え、少し疎外感もある不思議な空間で、お世話になった選手らにあいさつと今季最後のインタビュー。
「今年は1年を通してかなり苦しかった。状態の波が激しく、継続性を保とうと精神的にも追い込んだが、自分にガッカリする結果だった。思い描いていたシーズンと全然違った」
いつも快くインタビューに応えてくれたパトリック・サンドバル。今季の最後も包み隠さず「正直なところ、早く健康を取り戻して来年の準備をしたい。今年の結果は、自分のハングリー精神をとてもかき立てられた。昨年の自分がいたところに戻るんだって、炎がついている」と悔しさの入り交じった笑顔を向けてくれた。
優しさたっぷりのチャド・ウォーラックは「今年を振り返って頭に浮かぶのは、チームメートたち。今年は本当に絆の深いメンバーがそろっていたと思う。クラブハウスでみんなでたわいもなく過ごした時間が一番好きだったし、一番思い出深い」
オフシーズンは家族でハワイ旅行へ行ったら11月からまた週4日間のトレーニングだそうだ。チャドには人違いをして同じ質問を2度してしまったことがあるのだが「それ、きのう聞いたじゃん!」って笑って許してくれたのが私には思い出深い。
「来年は健康で、肉体だけでなく精神的にも強くなって戻ってきたい。このゲームは、精神的なチャレンジのほうが大きいと思うから。つらかった今年を振り返るよりも、来年できることに目を向けて頑張るよ」と言ったのは、ドミニカ共和国のアニメ兄弟(と勝手に呼んでいる)の弟分、ホセ・ソリアーノ。兄貴分であるカルロス・エステベスのフロリダ州にある自宅で数日過ごしてから母国に帰るのだそうだ。
なかなか紹介できなかったが、ドラゴンボールの良さを熱弁するカルロスが「日本のアニメはネバーギブアップの精神を教えてくれた。ソリアーノにも聞いてみてよ」と言うので話しかけ「NARUTO」や「ワンピース」の話題で盛り上がってから、シャイなホセが笑顔を向けてくれるようになったのがうれしかった。
最後は、気遣いとポジティブな言葉で必ず明るい気持ちにさせてくれたブレット・フィリップス。
「自分の忍耐力を試されたシーズンだった。5月にDFAされ、再びマイナーリーグで改めて気持ちを切り替え『少しでもポジティブに過ごそう』って、これまで何度もやってきたけど、年を取るたびに少しずつつらくなるんだよね。でも耐え抜いて、9月にまた戻ってきて本塁打を打ったり、好守を見せたり、自分はまだメジャーリーグのチームが勝つ手助けをできるんだって見せられたのは良かった。だから誇らしく思うかな」
大きなため息とも、ねぎらいのひと息とも言える息をつき「シーズンお疲れさま」と締めくくった。
来季は“日本でプレーすることも考えたい”と話していたので、日本球界の一員としてプレーする姿も見られるかもしれない。
ロサンゼルスに来てから迎える8年目のオフシーズン。見慣れた光景のはずなのだが、今年はどこか心にこたえるものがある――。











