【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】エンゼルス・大谷翔平投手(28)の“神対応”が全米で話題となっている。エンゼルス―ツインズ戦が行われた13日(日本時間14日)の試合前のこと。ツインズのカルロス・コレア内野手(27)の14歳の妹が、大谷の大ファンだったことから、サプライズ企画を計画したところ、妹は大谷のファンサービスに大号泣してしまったのだ。それがMLB公式サイトで報じられ大反響に。エンゼルス番通信員の目の前で起きた、感動的シーンの一部始終とは――。

「日本の方ですか? 日本って、どんなところですか?」

 エンゼル・スタジアムでクラブハウスに行く時に必ず通るエレベーターホールがある。赤い1人掛けソファが4つあるのだが、その日は誰かラテン系選手のご家族らしきグループが座っているな、と思っていた。

 何度か通りかかると、肩までのソバージュがかった髪に「PARTY」の文字が並ぶスパンコールのカチューシャをつけ、赤の大谷翔平ユニホームを着た女の子が、話しかけてきた。

 人懐っこさそうな彼女は、女の子と言うには大人びていて「今、日本語を勉強していて、来年には学校のプログラムで日本に行けるかもしれない。行くならいつ、どこが良いですか」などと聞いては、一つひとつ丁寧に隣に座る母サンディーベルさんにスペイン語で説明していた。

 カルロス・コレアの14歳年の離れた妹、レイバサンド・コレアさんだった。

 14歳の誕生日に大谷との念願の面会がかなったとニュースになったので、この話を知っている人も多いかもしれない。

「実は1年以上前から、なんとかショーヘイに会うチャンスはないかと、兄がいろんな方に探ってくれていて。今日、それがようやくかなえられそうだって、ヒューストンから来たの。まさか自分の誕生日になるなんて!」

 どうりでさっきから、試合前で忙しいはずのカルロスが、たびたび様子を見にクラブハウスから出てきていたわけだ!

 約3年ぶりに会ったカルロスは、どこかひと皮むけていた。結婚、コロナ、第1子誕生、いろいろあったからかもしれないし、チームが変わったからかもしれない。

 もともとメディアから逃げるタイプではないが、ロサンゼルスは彼にとっては決して居心地の良い場所ではなさそうだったのに、その彼からのグータッチと笑顔は拍子抜けだったし、妹の話になった時に見せた、いたずらっぽく頼もしい表情も意外だった。

「うちの妹、K―POPだとか、小さいころからアジアの文化にハマっていて、ショーヘイが大リーグ入りした瞬間から大ファン。クリスマスにショーヘイのユニホームを贈ったら、泣き崩れたんだよ。こりゃ、なんとかしなきゃな、ってずっと方法を探していたんだ」

 ツインズの敏腕広報ダスティン・モースが、せわしなくご家族の元に状況を伝えに来ているのを見るに、球団を通して大谷との面会がかなうこととなったのだろう。

 午後2時過ぎからスタンバイするご家族は、エレベーターホールやフィールドを行ったり来たり移動して最終的にホールで落ち着いたが、大谷が現れるまでの2時間半、静かに待っていた。

「実はすでに泣きそう。90%会えるはずだけど、何があるか分からないから期待し過ぎちゃダメよって言われてきたの。でも、もし会えなくても、今日はすでに最高の日なんだ。兄は、社交的で、面白くて、自分のことより他の人のことを考える人。兄に会った人なら、その良さが分かる。だから、ミネソタやヒューストンで兄にたくさん友人ができて良かったなって思うの」

 レイバサンドさんとそんな話をしていたら、大谷が現れた。人は極度の緊張と喜びが同時に来ると、逆に冷静になるのかもしれない。時間にしたら、ほんの2、3分程度。彼女は実に丁寧にあいさつし、サインと記念撮影もクールだった。肝っ玉が据わっているな、と大谷が去ったその時…。

 レイバサンドさんはカルロスの胸に飛び込むと、声を上げて泣き出した。まさに号泣。大谷とより長いんじゃないかと思う時間、妹が落ち着くまで優しく抱きしめていたカルロスは、なんだかヒーローみたいで、ちょっと悔しいほどにかっこよかった。 

 ☆カルロス・コレア 1994年9月22日生まれ。27歳。プエルトリコ出身。193センチ、98キロ。右投げ右打ちの内野手。2012年のMLBドラフト全体1位でアストロズから指名されプロ入り。15年6月にメジャーデビューすると、以降大型遊撃手としてレギュラーに定着。同年99試合で打率2割7分9厘、22本塁打、68打点で新人王に輝く。16年はクリーンアップを打ち2割7分4厘、20本塁打、96打点。17年は世界一に貢献。21年に大型契約を提示されるも拒否し、22年にツインズへ移籍。1年あたりの年俸3510万ドル(約46億円)はMLB内野手史上最高額。