【グラゼニ球論・金村暁】阪神にとっては最高の形で、2位・広島に引導を渡す3連勝となりました。8日のカード初戦に先発した村上、9日の大竹に続き、10日は伊藤将が気迫あふれる投球で8回1失点。見事に3人とも〝大台〟の10勝をつかみ取りました。

 私自身もプロで4度、年間10勝以上を記録させてもらいましたが、9勝の先発が2桁の大台に乗せるというのは、何年やっても難しいものです。私自身もそうでしたが、〝リーチ〟をかけながら先発機会で2度、3度と足踏みすることは、決して珍しいことではありません。それほど先発にとっては、大きな区切りの数字で「無意識」を心がけても「意識」してしまうものなのです。

 今カードでは3人がともに一発でクリアしました。ましてや、誰もがこの3連戦が「アレ(優勝)」に向けて大事な試合になることが、分かりきったなかでの快投。まさに2桁を勝つ投手にふさわしい精神面での〝すごみ〟を見た気がします。

 3人はともに7イニング以上を投げて試合をつくっただけでなく、与四球も「0」。5日からの5試合では、計45イニングでチームが与えた四球は「4」。なぜチーム防御率2・65でリーグダントツの成績なのかは、1試合平均でも2・18個の与四球の少なさを挙げることができます。

 これは、一朝一夕の取り組みで成果はでません。育成コーチから始まり、昨年まで二軍投手コーチだった安藤一軍投手コーチの地道な「意識づけ」の積み重ねがあります。

 私自身も、昨年まで7シーズン一軍コーチとして連携を取らせてもらいました。先発陣はもちろん、1人の走者が命取りになりかねない中継ぎ陣にも、試合で与えた四球にはファームでも口酸っぱく、次回への改善事項として担当コーチが選手に伝える習わしがあります。例えば、二軍戦で投げた投手が完封勝利を挙げたとしても、1つでも四球があれば「次は無四球を目指そうな」という声かけを欠かしません。

「無駄な四球を出さない」ことは、今や一軍投手の必須条件。投手陣全員に浸透した良い〝伝統〟が、ペナントレースの大一番において、大いに生かされる形となりました。(本紙評論家)