【石井和義の光と影#24】2002年8月28日に開催された「Dynamite!」は総合プロデューサーという形で関わりました。「史上最大の格闘技イベント」として約9万人の観客を集めましたが、僕自身は全く儲かっていません。それでも、やって良かったと思っています。理由は、広告宣伝費として莫大な効果だったから。あの大会は赤字でさえなければ御の字でした。
僕の根底には「イベントは宣伝になる」という考え方があるんです。多くの人は、資金があったらそこから先に利益を取って、残りで何かをやろうとするでしょ? でも「宣伝」という考え方があるから全部使うつもりでやるんですよ。結果、使った以上の資金が入ってきたら、また使い切る。使い切れば盛り上がるからまた入る…。その繰り返しでK―1は大きくなりました。
例えばイベントを1億円の資金でやるとしますよね。すると、よそは大体3000万円を先にとっておいて、7000万円くらいでやろうとするんです。でも僕は1億円を全部使って、スポンサーを付けたり、タレントを呼んだりして2億円のイベントに見えるようにする。すると「7000万円VS2億円」になるからこっちがいいに決まっているんです。そういうやり方でマーケットを取りにいきました。
昔から「損して得取れ」って言うじゃないですか。だから、金銭感覚のない人以上にケチな人と付き合ったらダメなんです。カードも同じで、出し惜しみしちゃいけない。だって、次はどうなるか分からへん。ケガをするかもしれないし、アンディ・フグ(スイス)のように突然いなくなるかもしれない…。
だから、その時にファンが見たいものを出してあげるのが大切。そういう意味で「武尊VS那須川天心」(※)はやって良かった。あれをやったバラさん(RIZIN・榊原信行CEO)はえらい。だって対戦を実現させても、RIZINには何も残らないじゃないですか。だけど「夢を持たせてくれた」というファンへの実績ができた。それが今のRIZIN人気につながっているんです。
当時「やらない方がいいんじゃないか」という意見もあった。やらないでもよかったけど、ファンは「格闘技界は僕らの望むカードを実現してくれないのか」と失望したでしょう。実現させたバラさんは、ファンに期待感を持たせる存在になった。だからこそ、あの対戦を「K―1」と「RISE」の合同興行としてやっていたら立ち技界はまた違う盛り上がりになっていたんじゃないかとも思います。
※2022年6月19日、東京ドームで那須川天心VS武尊をメインにした立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」が行われた。













