悔しさを力に変える――。7月の水泳世界選手権(福岡)で銅メダル2個に終わった競泳日本代表陣で、誰よりもリベンジに燃えているのが女子200メートル平泳ぎに出場した今井月(23=バローHD)だ。6年ぶりに日の丸を背負った一戦は準決勝で敗退。惜しくも決勝には届かず、不完全燃焼に終わった。本紙の単独インタビューでは、大会を通じて見えた課題、親友との関係、来年に迫るパリ五輪への思いなどを明かした。

 世界の壁にはね返された。今井は予選を全体8位で通過したが、準決勝は全体9位。上位8選手が決勝にコマを進める中で、わずか0秒52及ばなかった。

 今井 準決勝で9位だったのはもちろん悔しいけど、4月の日本選手権から世界水泳に向けてやってきた3か月間の練習の成果を出せなかったことがすごく悔しいです。そんな自分のちっぽけさに情けなさを感じました。会場が寒くて水も冷たかったので、福岡大で練習をしていたけど、レース当日に久々に会場に入った時に雰囲気に慣れていないところがあったので、そのへんをもう少し考えてやれたら良かったかもしれないです。

 2017年大会以来、6年ぶりに帰ってきた世界選手権の舞台。日本代表として戦う喜びを改めて感じた大会となった一方で、心の底から「楽しい試合だった」と言えない自分に気がついた。

 今井 国際大会で戦えないと面白くないなと思ったので、メンタル面ではどんな状況にも対応できるような精神力をつけていきたいです。代表に入るだけじゃなくて結果を残さないと、自分で自分を認められないのもある。正直あまり楽しくなかったというか、つまらなかったのが今回の試合でした。代表に入れなかった6年間で自分なりに(壁を)乗り越えてきたと思っているので。世界水泳の9位という結果くらいだったら乗り越えられると思って、次の目標に向けて自分を追い込んでいきたいです。

 今大会は同学年の池江璃花子(23=横浜ゴム)も代表入り。学生時代からお互いを高め合ってきた親友と過ごした時間は懐かしさを感じるとともに、大きな刺激を受けたという。

 今井 当時(16年リオ五輪、17年世界選手権など)はお互いに高校生だったので、若さと勢いで今よりは何も考えずに水泳をしていたと思います(笑い)。でも社会人になって、日本代表になって、いろんな人に注目を浴びながら戦っているけど、2人ですることは何も変わらないし、しょうもない話で盛り上がったりしていました(笑い)。璃花子と一緒に代表に入るとうれしいけど、これからは代表に入るだけじゃなくて、お互いもっと結果を残せたらいいなと思います。

 24年パリ五輪までは残り1年を切った。21年東京五輪は無念の代表落ち。2大会ぶりの五輪切符奪取に向けて、さらなるレベルアップが必要だと自覚している。

 今井 今は派遣標準を切ることに必死になっている部分が正直あるので、この1年で当たり前に切れるぐらいの実力をつけて、パリで戦えるような準備をしていきたい。パリでは、本当に全ての力を出し切ったと胸を張って言えるようにしたいです。今回の世界水泳はそういうふうに言えないので、やってきたことを全部出せましたと自信持って言いたいですね。

 3月に東洋大を卒業した今井は、4月から地元・岐阜に本社を置くバローHDと所属契約を締結。恩返しの思いを胸に、故郷を象徴するヒロインを目指す。

☆いまい・るな 2000年8月15日生まれ。岐阜県出身。中学1年時に出場した日本選手権の200メートル平泳ぎで3位となり脚光を浴びると、16年リオデジャネイロ五輪は200メートル個人メドレーで出場。17年世界選手権では同種目で5位入賞を果たした。21年東京五輪は代表入りならず。7月の世界選手権では本命と位置付ける200メートル平泳ぎで6年ぶりに代表復帰した。1月にはデサントジャパンの「アリーナ」ブランドにおいて、アドバイザリー契約を締結した。166センチ。