制御不能男が完全復活だ! 新日本プロレス真夏の祭典「G1クライマックス」優勝決定戦(13日、東京・両国国技館)は、内藤哲也(41)がオカダ・カズチカ(35)を撃破し6年ぶり3度目の優勝を飾った。これで来年1月4日東京ドーム大会でのIWGP世界ヘビー級王座(現王者はSANADA)挑戦権獲得が確実に。内藤は独占手記を寄せ、満身創痍のレスラー人生を歩む男の矜持と、リング上で発した「今」という言葉に込めた思いを明かした。

【独占手記】G1クライマックス33を応援してくれたすべてのお客さま、グラシアス、アミーゴス! 初戦(7月16日、札幌)のジェフ・コブ戦からなかなか思うような試合ができず、肉体的なダメージの蓄積もありましたけど、苦しい時に救われたのはやっぱりお客さまの声ですね。改めて歓声からもらえる力を実感したシリーズでした。

 今だから話せますけど、苦しい戦いでしたよ。6月末からメキシコに7日間の滞在で5試合して、7月4日に帰国した時は古傷の右ヒザがパンパンに腫れた状態。1週間たっても腫れが引かずに90度曲がらない、私生活にも支障をきたす状態で開幕を迎えたんです。治療で徐々によくなってきたのが救いでしたね。

 上斜筋麻痺に悩まされている右目も去年の5月に2回目の手術をしましたけど、今はまた手術前のような状況。下手したら今が一番悪いかもしれない。6年前に優勝した時とは違って、年齢的な部分もそうですけど、コンディションを不安に思うことは増えましたよね。でも、それをカバーしているのが、俺がすごく嫌ってた「キャリア」というものなんでしょう。

 優勝したリングの上で「今という、もう二度と戻らないこの瞬間を目いっぱい楽しみたい」とコメントしたのは、そういう状況があったから。ヒザにしても目にしても、元には絶対に戻らないですからね。絶対に。でも、そういうケガがあったからこそ、今こういう気持ちになれて、今日を一生懸命生きたいと思えるようになったので、ケガがすべて悪いとは思ってないです。

G1を制覇し「デ・ハ・ポン!」で締めた内藤哲也
G1を制覇し「デ・ハ・ポン!」で締めた内藤哲也

「今」を大切にしなければいけないと思った出来事は他にもあって、実はおととしのG1期間中に祖父(花井繁さん)が、去年のG1期間中には祖母(花井ふみ子さん)が亡くなったんです。祖母は「哲ちゃんが叩かれたりしてる姿を生で見れない」と言っていたので、結局リングに上がる姿を一度も会場で見てもらうことがかなわなかった。逆に祖父は俺がデビューして以降、プロレスにすごく興味を持ってくれて、一人でバイクに乗って会場に来たりしてくれてたんですが、コロナ以降はなかなか来れなくなってしまったんです。

 祖父は2020年1月5日の東京ドーム大会に来てたんですよ。でも、俺がメイン後にKENTA選手に襲われて「デ・ハ・ポン!」の大合唱をできずに帰ったので、結局ドームで大合唱できないまま亡くなってしまった。これは祖父の話ですけど、そういう人って、いっぱいいると思うんですよ。もしくはプロレスに興味がなくなってしまったとか。だからあの時、大合唱ができなかったのはいまだに俺の心残りです。

 この3年以上、歓声がない時期もあったし、客足が遠のいていたのは感じてますよ。寂しさと悔しさ、早く前みたいに戻ってくれと願いながらプロレスをしてきました。

 来年のドームでは、お客さまがコロナ前のようにマスクなしで歓声を出せるように戻るのかな。今回、G1に優勝して現時点ではそこのメインに立つ資格を得られたというのも、デスティーノかもしれないですね。俺は2月に武藤敬司選手の引退試合の入場時のコールを、リングのど真ん中で聞いてました。来年のドームでは、あれ以上の大合唱を聞きたいですね。

 とはいえ、そこにたどり着く前に、まだまだやらなきゃいけないことがあるのかな…。東京ドームで皆さまと一緒に大合唱できるのか、その答えはもちろん! トランキーロ、あっせんなよ!

(内藤哲也)