バスケットボールBリーグの岸本隆一(33=琉球)、総合格闘家の征矢貴(28=パラエストラ松戸)、元ラグビー選手の加藤広人氏(27)が6日、都内で行われた炎症性腸疾患(IBD)に関する武田薬品工業とエームサービス主催の「IBDreamめし~アスリート編~」イベントに出席した。

 岸本は、2019年に難病の潰瘍性大腸炎を発症したが、現在は寛解し22―23シーズンは全60試合に出場し、チームの初優勝に貢献。征矢は、17年に難病のクローン病と診断され一時は格闘技から離れたが、現在は復帰を果たしている。加藤も20年に診断を受け退院したが、症状が再発し21年に引退した。

 トークセッションで3選手は病について語った。加藤は、自身の身に起こった症状として「一番ひどい時は、1日でトイレに30回も行くときがあった。食事もノドを通らず、練習中に倒れて死にかけることもあった。現役時代は体重が103キロあったのが、入院するときは90キロ、退院するときには79・9キロになった」と苦悩の日々を振り返る。

 征矢も「クローン病の治療薬をひととおり使ったけど、一時的にしか作用しなくて、どんどん違う種類の薬を使った。練習でも、体調が悪いと今まで通りの動きができなくて、後輩にやられたり不安でいっぱいだった記憶があります」と告白。

 岸本は病を公表した経緯として「ちょうど契約交渉の5、6月に発症して、もしかするとシーズン中に欠場する可能性があった。そうなると、公表した方が応援する人の理解もあるのではないか。診断された人はみんな潰瘍性大腸炎について調べる。発症したアスリートを調べた時に、同じ病気の人がいたら、競技を続けようと思うかもしれないから、少しでも力になりたくて公表しました」。

 このような腸の難病を抱える運動選手は多い。自身も、高校1年次に潰瘍性大腸炎を発症した経験を持つ「おうちの診療所」中野院長の石井洋介氏(42)は「この病気は、遺伝性とか原因がまだはっきりとわからない。自分も寛解しているけど、1日7、8回は排便する。アスリートの方も、スパーリングのときに急にトイレに行きたくなったり、抜けづらいタイミングもあって大変だと聞いている」と日々練習を行うスポーツ選手に理解を示した。