阪神は30日の西武戦(ベルーナ)に3―1で勝利し、2007年以来となる神撃の9連勝。投打がガッチリとかみ合った盤石の試合内容で、球団新記録となる月間20勝にも王手をかけた。本紙評論家の伊勢孝夫氏も、万事において隙のない岡田彰布監督(65)の用兵、状況判断の妙に脱帽。百戦錬磨のタクトが交流戦でも、パ球団を圧倒するだろうとの見方を示した。
【新IDアナライザー・伊勢孝夫】今月中旬に私はこの場で「夏場までに貯金を15まで伸ばすことができれば、阪神は〝アレ〟に向かって一気に押し切ることができるだろう」と書いた。だが、フタを開けてみれば、今月30日の時点で阪神の貯金は既に18まで膨れ上がっている。一般的に考えて、優勝ラインとなる貯金は22~25。今後は〝馬なり状態〟をキープできればいい段階にまできている。何よりも今の阪神からは、大型連敗の落とし穴にはまり込みそうな雰囲気が一切感じられない。
なぜか? チーム最大のストロングポイントである投手陣が強固すぎる上に、岡田監督の適材適所を地で行く選手起用や、的確な状況判断がさえにさえわたっているからだ。私は巨人で打撃コーチを務めていた07年、第一次政権時の岡田監督に対し「奇をてらう采配は決してしないが、こちらの予想通りにも動いてくれない人」との印象を受けていたが、そのタクトはさらに円熟味を増している。
リーグトップの10犠打をマークしている2番打者・中野を例に挙げても、リードオフマンの近本が出塁した際には、エンドラン、進塁打、近本の単独スチール等を状況に応じて効果的に使いわけてくる。継投のタイミングもこの上なく適切。選手たちも監督の采配に信頼を寄せていることが伝わってくる。
近本、中野、大山、佐藤輝らの中心打者は、年々着実に成長を遂げている。苦しい夏場以降もそれぞれがフォローしあい、打線を支えていくことだろう。不安があるとすれば、もう一人の打線のキーマン・木浪の打棒が落ち込んだ時。だが、岡田監督ならばその点は既に想定した上で、次善策を今から用意しているのではないか。
一般の野球ファンだけでなく、11球団の指揮官もまた「恐るべき岡田野球」というイメージを既に抱いていることだろう。戦う前から「名前勝ち」できるアドバンテージもこの上なく大きいものだ。西武・松井監督だけでなく、まだ指揮官歴の浅い日本ハム・新庄監督や、楽天・石井監督も岡田監督の手のひらの上で、翻弄されてしまうのではないだろうか――。(本紙評論家)












