チームにとっても大きな意味を持つ1勝だ。ソフトバンクが9日の日本ハム戦(熊本)に1―0でサヨナラ勝ち。最後は四球、盗塁で二塁に進塁した周東が、内野安打に相手失策が絡む間に快足を飛ばして生還した。

 劇的勝利に導いたのは今季の開幕投手を任された左腕・大関友久(25)だ。味方打線が相手先発・伊藤を打ちあぐね、両軍無得点が続いていた中で、9回を1安打2四球無失点で今季初の完封勝利。13三振を奪った。

 エース育成も担う両投手コーチの熱い思いに応える投球でもあった。千賀(現メッツ)が海を渡ったシーズン。好投手ぞろいとはいえ、相手のエース格と渡り合う不動の柱に関しては不在とされ、チームの不安要素となっていた。その中で台頭が期待されていたのが大関だった。

勝利のクラッカーをならすソフトバンク・大関
勝利のクラッカーをならすソフトバンク・大関

 試合前の時点でも防御率は1点台だったが、白星は開幕戦の1勝のみ(3敗)。今回同様にカード初戦で相手エースと投げ合うことが多く、終盤まで1失点に抑えながら援護なしでの敗戦が2試合もあり、苦しんできた。

 それでも首脳陣は「週の頭で相手チームもエースが出てくる。勝ち星ということに関しては大変だが、これで勝てるようになってほしい。中心に据えているという僕らの思いと、大関の責任感が一致してくるのを期待しています」(斎藤学投手コーチ)。この壁を乗り越えられる存在として託した。

 そんな中で1点の援護のみでの見事な完封勝利を飾った。斉藤和巳投手コーチも〝途上段階〟であることを口にしつつ「これは開幕投手というところと、カード頭、週の頭に投げる投手の宿命。そういう場所を任せられるような投手になってほしいというのと、なってきたというところがあるから」と合格点を出した。

 大関にとっても大きなきっかけとなりそうな白星だ。「過去の自分の投球の中でも、一番いい投球ができたと思う。そういう意味でも成長できているなといううれしさはあります」と手応えを口にした。