【米ミズーリ州セントルイス4日(日本時間5日)発】メジャー新時代、強烈な追い風が吹いている。エンゼルス・大谷翔平投手(28)が、今季からユニホームの下に装着しているサイン伝達用の電子機器「ピッチコム」。サイン盗み防止と時間短縮の「ピッチクロック」ルール導入に伴い採用されたものだが、大谷の「野球脳」をフル活用する新たな武器となっている。
開幕から7試合に先発して無傷の4勝、防御率2・54、両リーグトップの59奪三振など「投手・大谷」の好発進ぶりを裏づけるデータは多い。後押しているものは何か――。
その要因を探るヒントの一つが、ネビン監督の証言にある。「翔平は(前の打席や直前の反応など)相手のスイングから、その打者が次に何を狙っているのかを察知する能力に長けている。(実際に)彼は3巡目に対戦する打者に対して、とりわけ強い」。そう力強く断言すると、目を見開いてこう続けた。「私は、彼が3巡目に対戦した24人の打者から15個のアウトを三振で奪ったという驚異的なデータを見た。試合の3巡目というのは、それまでの2打席でどのように相手を打ち取ったのかを分析して生かす必要がある。修正能力が鍵だと思っているが、翔平にはそれがある」。
大谷はアンダーシャツ内側の左脇下辺りに「ピッチコム」を装着している。9つのボタンを器用に押し分けて捕手に球種やコースを伝達。機器の故障などがない限り、配球を決めているのは大谷だ。ネビン監督の貴重な証言とともに、ここまでの被打率は両リーグトップの1割2分5厘。五感をフル稼働させ、野球脳を存分に働かせてゲームを支配している。
多彩な球種を操るゆえに、昨季までは捕手とサインが合わず首を振るシーンが目立った。投球間隔が延び、リズムが悪くなる要因でもあったが、そのストレスからも解放。責任と仕事は増すが、そこは〝野球マシーン〟の大谷だ。配球を考える楽しさが精神的にもプラスに働いている。
第一義的には制限時間内にサイン交換を済ませることだが、大谷の能力を引き出す結果にもつながっている。もちろん実績に応じた投手と捕手の力関係、チーム方針などもある。ピッチコムが導入された今も、伝達の主導者はほとんどが捕手で、投手は受信する側だ。大谷のように自らサインを決められる投手は極めて少ない。結果がすべての世界。賛否はその時々で変化するだろう。ただ、流れに乗っているのは間違いない。












