さらに上を目指せる! フィギュアスケートの世界国別対抗戦(東京体育館)が閉幕し、今季の全日程が終了。大きなインパクトを残したのがアイスダンスの〝かなだい〟こと村元哉中(30)、高橋大輔(37=ともに関大KFSC)組だ。16日のエキシビションでも華麗な演技を披露。その2人がフリーダンス(FD)で演じた「オペラ座の怪人」の振り付けに携わったダンサー・振付師の小㞍健太(こじり・けんた)氏がプログラムに込められた思いを明かし、今後の伸びしろについても言及した。
小㞍氏に白羽の矢が立ったのは昨年5月中旬だった。今季の2人は高橋がシングル時代の2007年世界選手権銀メダル獲得時のフリーで使用した「オペラ座の怪人」をFD曲に選択。指導を仰ぐマリーナ・ズエワ・コーチが「ファントム(高橋)の気持ちや感情に対して、クリスティーヌ(村元)がどう引き寄せられていくかという物語をつくりたい」と提案したところ、村元から「ご相談したいことがあるのですが…」と小㞍氏に連絡があったという。
小㞍氏は冒頭部分や中盤のリフトとスピンのつなぎなどの振り付けを担当。6月ごろから振り付けを始め、約2か月間でおおよその形をつくり上げた。小㞍氏が意識したのは「あまりフィギュア寄りにならないようにしながら、コンテンポラリーダンスの要素を参考に、氷上でもできるように振り付けの意図を共有し、変化させること」。冒頭に高橋が手を氷に置いてできたスペースを、村元がくぐり抜けるシーンもその一つだ。
「最初は大輔君が立っている足の間を哉中ちゃんがくぐり抜けていたけれど、見たことのある動きだった。クリスティーヌがファントムの世界に入っていくという感じがしなかった。2人の愛の物語が始まるということを冒頭で伝えたかったので、いろんな動きを試した」
フィギュアとダンスの要素を巧みに交ぜつつ「オペラ座の怪人」の世界観を表現することに注力。小㞍氏はシーズン中もアドバイスを送った。昨年10月末には「大輔君にはファントムの強い欲望と愛がもう少し出るといいなと。哉中ちゃんにはメロディーをさらに繊細に聴いて動きに生かしてほしいと」。高橋の感情と村元の動きが音楽的に自然とつながれば、より審判や観客に感情を伝えられるとの考えからだ。
地道に努力を重ねた2人は、シーズン終盤に会心の演技を見せた。3月の世界選手権では115・95点をマークし、合計188・87点で日本勢最高タイの11位につけた。小㞍氏は「愛の始まりから愛が花咲いてくような世界観が見えていた。愛の高まりがスピンやリフトにつながっていたので、すごく質が上がったと思う」と絶賛。さらに世界国別対抗戦では、自己ベストの116・63点を記録するなど、右肩上がりで進化を続けている。
カップル結成3季目を迎え、世界の舞台でも躍動。来季の去就について高橋は「本当にどうなるのか自分でもわからない」と白紙を強調したが、伸びしろはまだまだ十分にある。小㞍氏は「テレビで例えると、最初は画質がちょっと粗めだったけれど、今は4Kのようにきれいになってきたので、2人で表現者としてさらに上を目指してほしい」と熱烈エール。〝かなだい〟は、今もなお無限の可能性を秘めている。












