【グラゼニ球論・金村暁】過去2度の先発マウンドとは、違う手応えを得られた登板になったはずです。16日(日本時間)のメッツ戦で先発したアスレチックス・藤浪晋太郎投手(28)は7回途中4安打3失点。敗戦投手にこそなりましたが、これまでで最も収獲ある登板になりました。

 この日はこれまでのワインド・アップではなく、無走者ではノーワインドアップから。初回は投球フォームの一連の動作のなかで、リリース時に右手首が立ちきらず直球、スプリットがやや抜け気味だったのが心配でしたが、2回以降は修正され4回まで全て15球以内で投げ切るなど、テンポの良い投球ができました。

 味方から先に2点の援護をもらっただけなく、勝利投手の権利がかかった中盤以降は、チームぐるみでの〝サポート〟にも助けられました。

 5回一死で迎えた8番打者にこの日、初となる四球を全球「ボール」で与えた後、続く9番打者の初球も外れると、捕手のペレスがタイムを取り、藤浪のもとへ。すぐにベンチからも通訳が飛び出して〝意図的に〟間を取る場面がありました。過去2度の先発で制球面から崩れただけに、この中盤を「何としてでも、乗り越えてもらいたい」という周囲の気持ちに藤浪も、改めて気持ちを奮い立たせたと思います。

 6回も先頭打者への死球から無死二塁と同点のピンチを迎えますが、前の打席で本塁打を浴びた4番・アロンソを含めた敵の中軸相手に決定打を許さず、踏ん張ることもできました。二死から5番・マクニールをスプリットで一ゴロに打ち取り、ガッツポーズを繰り出した姿からも、これまでとは違う〝何か〟を本人も得られたことと思います。

 もちろん反省もあります。1点リードで6回を投げ切った時点では勝利投手の権利も手にしていました。ところが7回、先頭・キャンハに直球を左翼席に運ばれ、2―2の同点に。ここまでは仕方がありません。問題はその後です。直後の打者にこの日、2つ目の四球。ここで藤浪は降板となりますが、後を受けたリリーフが二死から適時打を浴び、チームも逆転まで許す形となりました。試合はこのまま2―3でゲームセット。改めて不用意な四球でいかに試合が変わってしまうかを再認識してほしいと思います。

 とはいえこの日は7回途中まで92球を投げ、3失点と確実に先発の仕事は果たすことができました。次回こそこの日〝お預け〟になったメジャー初勝利を期待したいと思います。(本紙評論家)