卓球界とプロレス界の懸け橋になる! 1月の卓球全日本選手権男子シングルスで2連覇を果たした戸上隼輔(21=明大)は、優勝インタビューで昨年10月1日に死去した〝燃える闘魂〟アントニオ猪木さん(享年79)の名フレーズ「みなさん、元気ですかー!」を発したことが話題となった。卓球界随一のプロレスファンが本紙の取材に応じ、プロレス魂を激白。来年に迫るパリ五輪へ向けて、新日本プロレスの内藤哲也(40)から学んだ〝一流のマインド〟とは――。

 ――全日本選手権では決勝で張本智和を下した

 戸上 うれしい半面、まだ本当に実感が湧いていない。優勝したというよりは、リスタートだなという感じが今は一番強い。決勝はあそこまで自分のプレーを十分に発揮できるとは思っていなかった。自分の力が100%だとしたら、150%まで発揮できたので楽しく最後までできました。

 ――優勝のコメントはプロレス色全開で話題に

 戸上 小学生のころからプロレスの動画や試合を見てきて、プロレスラーのことを尊敬している部分がたくさんある。大舞台で優勝できた中で、何かプロレスに絡めて言えることはないかなと思っていたのに、ちょっと真面目に答えてしまった(笑い)。でも最後に「ファンの皆さまに」と言われた瞬間に「元気ですかー!」が出てきた。無意識に発したって感じですね(笑い)。

 ――優勝インタビュー後には、猪木さんの入場テーマ曲「炎のファイター」が流れた

 戸上 トロフィーを持った僕をカメラマンが撮影している時に「なんか聞いたことあるような曲が流れてきたな」と思ったら「イノキボンバイエ」だった。あれはもう鳥肌モノだったし、僕も聞かされていなかったのでうれしかったです。

 ――プロレスとの出合いは小学生のころ

 戸上 週1日くらいの頻度で知り合いの薬局の方のところにしゃべりに行く際に、プロレス番組を録画してくれていて、それを毎週のように小学生のころは見ていた。男と男の戦いぶりを見て、自分としてはすごい刺激的でハマってしまいました。

 ――プロレスの世界に行く可能性はあったのか

 戸上 もう、卓球を始めていたので(笑い)。体つきもめちゃくちゃ細かったので、なかったですね。

 ――卓球より先にプロレスに出合っていたら…

 戸上 逆だったらやっていましたね(笑い)。

 ――新日本プロレスのエース、棚橋弘至の熱烈ファン

 戸上 やっぱり正義のヒーローじゃないですか。それが本当にカッコよくて。僕が昔に見ていた時はベルトをずっと保持していたエースで、誰が来ても負け知らずの存在で、すごくカッコよかった。それにファンのみなさんに愛されている魅力がたまらないです。

 ――印象に残っている試合は

 戸上(2012年2月に)オカダ・カズチカ選手が(米国での武者修行から)凱旋帰国した最初の一戦でベルトをかけて戦った時に、棚橋選手が「レインメーカーショック」で負けちゃって。それが衝撃だった。確か12回目の防衛の時に負けて、本当に悔しかった。自分にとって最も悔しかった試合であり、楽しかった試合です。

 ――内藤のプロレスのスタイルが自身のプレーに生きているとか

 戸上 直球じゃないプロレスというか、相手の動きを読み取って、自分の好きな、自分のペースで物事を進めている。最初はあまり人気がなかったけど、今となっては他の選手と張るぐらいの人気がある。自分をどう生かしたら(技などが)決まっていくのかをあきらめずに最後までやるところを見て、小学校の時にあきらめない心を知った。それが卓球に生かされています。

 ――将来的には卓球界とプロレス界の交流を深めたい

 戸上 その気持ちはすごくあります。本当は卓球とプロレスって交わらないかもしれないが、こうして僕も一ファンとして影響を与えてもらっているので。その恩返しとして「プロレスを広めたい」という思いがあります。

 ――5月には世界選手権(南アフリカ・ダーバン)が開催される

 戸上 パリ五輪を見据えた時に、シングルスで結果を出したいと思っている。今年1年で中国の選手を何人倒せるかという話になってくると思うので、たくさんの中国選手に勝って、五輪本番で中国に対しての壁をなくしていきたい。僕が最終的に目指すところは五輪での金メダルなので、いち早く取れるように、まずは今年1年間頑張りたいです。

【内藤哲也の話】他競技の選手がプロレスを好きだと口に出してくれるのはうれしいですね。今回で言うと、卓球しか見ていないお客さまにもプロレスという4文字が伝わるわけですし、すごくありがたいことだなと。ただ…(深いため息をついて)「他の選手と張るぐらいの人気」ねえ…。まあまあ、戸上選手にはそう届いているということですから、俺もあぐらをかかずに「頑張れよ」という激励だと思って受け止めますよ。

☆とがみ・しゅんすけ 2001年8月24日生まれ。三重県出身。3歳から卓球を始め、各年代のカテゴリーで活躍。明大進学後、21年にはアジア選手権混合&男子ダブルスで優勝。世界選手権男子ダブルスでは銅メダルを獲得した。22年全日本選手権男子シングルスで初Vを果たすと、ドイツ・ブンデスリーガへの参戦を決断。24年パリ五輪に向けて国内外で武者修行に励んでいる。卓球界随一のプロレスファンで、好きな選手は新日本プロレスの棚橋弘至と内藤哲也。170センチ。