岡田彰布監督(65)が復帰した阪神が、DeNAとの開幕戦(3月31日、京セラ)に6―3で快勝した。9回は一発出ればひっくり返されるという二死満塁の大ピンチを、守護神・湯浅がしのぐヒヤヒヤ勝利。虎の指揮官として15年ぶりの復帰星となった岡田監督は「まぁねぇ…こんなもんでしょう」。さすがの知将もドッと疲れが出たようだったが、その一方では〝アレへの布石〟もしっかり打っていた。

 初の開幕投手を務めたエース・青柳が5回まで無失点。打線も5点を奪い〝楽勝〟ペースも、6回以降は、一気に雲行きが怪しくなった。

 青柳が一死一、二塁とこの試合、初めて得点圏に走者を背負うと、岡田監督は岩崎を投入。その後は浜地、K・ケラー、湯浅の継投で逃げ切りを狙ったが、K・ケラーは2失点、9回に登板した湯浅も制球に苦しんで3四球で一死満塁。最後は何とか踏みとどまった。

 終わってみれば〝薄氷〟の勝利。公式戦での采配はオリックス監督時代以来11年ぶり。試合後の岡田監督は、青柳から左腕の岩崎にスイッチした場面を「俺が間違って…」「まさか(代打に)宮崎が出てくると思わんかった」と振り返った。戦略家で豊富な監督経験を持つ知将でさえ、久々の真剣勝負の場で〝勝負カン〟に狂いが生じていたことを認めた。

 5―0から〝動いた〟結果、逆にリードを縮められ、万が一にも追いつかれていたら…。岡田監督も徐々に詰め寄られた終盤以降に「よぎるやろ? よぎるよ、そりゃ…」と、昨年の開幕戦、同じ球場でヤクルトに7点リードから逆転負けを喫した悪夢が頭をかすめたという。

 それでも、この日の継投は〝岡田流〟のあらわれでもある。指揮官が理想としているのは、ワンポイント起用をせずに、中継ぎ陣がイニングを完了して終わる形。オープン戦でも中継ぎがイニング途中で降板したのは、12日の巨人戦のK・ケラーのみだった。

 その方針の根底にあるのは、起用の選択肢が限定的でない投手を育て、将来の投手としての可能性を広げてほしいという指揮官の親心。久保田投手コーチは「中継ぎでも、最初に一軍に上がってきた時『ひとり、投げれば』という考えではないはず。誰もがいいポジションで、イニングを投げ切りたいという考えで一軍に上がってきたと思う」と話す。

 虎のブルペンには将来ある20代の中継ぎ投手が多い。その一方で〝先々〟を予見した球界の潮流もある。「メジャーでもワンポイントがなくなり、1イニング投げ切り(あるいは最低打者3人と対戦)というルールができて変わってきていますしね…もしかしたら日本も…という将来の対応じゃないですけど」(久保田コーチ)。実際、先のWBCでも、登板投手はイニングを完了させるか、最低打者3人と対戦しなければいけないメジャー式で行われていた。

 もちろんシーズン終盤、優勝争いの大事な時期にはイニングまたぎや〝一人一殺〟が必要な場面もあるだろう。だが、今のうちから「投げ終える」スタイルでブルペンを運用できれば、計画的に肩をつくれる見込みも立ち、勝負どころで〝ガス欠〟を起こす懸念もない。

 先の先を見通して布石を打っておくのが岡田流。ブルペン運用も〝アレ〟に向けての仕込みということか。