喜びと悔しさが入り交じった涙だった。フィギュアスケートの世界選手権3日目(24日、さいたまスーパーアリーナ)、女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)1位の前回女王・坂本花織(22=シスメックス)は、145・37点をマーク。合計224・61点で男女を通じて日本勢初の連覇を達成した。
〝ノーミス〟が代名詞のスケーターに、ハプニングが訪れた。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)を軽やかに決めるなど、前半から安定した演技を披露。しかし、後半の3回転フリップ―トーループの連続ジャンプで、フリップがまさかの1回転となった。悔しさのあまり、大粒の涙がこぼれ落ちた。「SPの差が、どう縮まってしまうかと焦った」。一抹の不安が頭をよぎったが、SPの貯金で逃げ切った。
優勝が決まっても、いつもの〝かおちゃんスマイル〟は影をひそめた。前回大会と同じ表彰台の頂点。だが、見える景色は異なっていた。「今年は複雑。悔しいのと、うれしいが10%くらいちょいちょいよぎってくる。うれしいけど悔しいなっていう気持ちだった」。素直に喜ぶことができないというのが本心だった。
指導を仰ぐ中野園子コーチは「運が良かった。もっとみんながパシっとやっていたら(優勝)できていないと思う」と厳しめの評価。その理由はわかっている。だからこそ、坂本も「緊張しても焦っても、自分を見失わずに最後まで滑り切れるような選手になりたい」とさらなる高みを見据えている。
中野コーチは早くも3連覇を意識している。それを聞いた坂本は「ええ、早い! それは、ちょっと、えーと、10か月後くらいに考える」と苦笑いを浮かべたものの、偉業に挑めるのはだた1人。その挑戦権を持つ世界女王は、果たしてどんな道を歩んでいくのだろうか。












