【取材の裏側 現場ノート】阪急で活躍したキューバ出身の〝レジェンド〟ロベルト・バルボン氏が12日に急性肺炎で死去した。89歳だった。俊足の内野手として3度の盗塁王(1958年~1960年)、ベストナイン(1958年)に輝き、65年に引退後もコーチ、解説者、オリックスの通訳などを務めてチームを支えた。
明るい性格で関西弁を操り、ヒーローインタビューでの「ブーマーはうれしい言うてます」などユニークな通訳も人気だった。球団職員を離れても京セラドームに〝通勤〟することを日課とし、外国人選手の相談役でもあった。特に同じ中南米出身の助っ人に目をかけ、2014年に来日した俊足内野手、ヘルマンに「僕が盗塁王を取ってから外国人の盗塁王はいない。僕を越えてほしいな」と盗塁の極意を伝授。また、主砲の糸井が熱中症で体調を崩したと聞くと「キューバは熱中症なんか、ないで。パパイア、マンゴー、プランティンバナナを食べないかんわ」と励ましたこともあった。
晩年もグラウンドに顔を出したり、中南米の選手がいると相手チームのロッカーに入って話し込む。エスカレートして警備員に目をつけられることもあったが「自分が日本と中南米の架け橋になる」意識が強かったと思う。
「チコさん」の愛称で親しまれ、高齢になっても背筋を伸ばしてさっそうと球場通路を闊歩した。大きな声が聞こえると周囲が「チコさんが来た」とすぐわかる。「今日は勝てるんとちゃうか」「ピッチャーこっちの方がええからな」。ここ数年は体調を崩して球場で姿が見られなかったが、あの〝キューバ版〟関西弁がもう聞けないのは寂しい限りだ。
(オリックス担当・西山俊彦)











