今年の野球殿堂入りが13日発表され、阪神で2度の3冠王に輝いたランディ・バース氏(68)が選ばれた。プロ野球界に数々の伝説を残したレジェンド助っ人の〝秘話〟を、当時を知るコラムニストが公開する。

【取材の裏側 現場ノート】大学4年の夏ごろだった。滞在先の米国からの帰国便に偶然、バース氏と乗り合わせたことがある。

 たまたまカバンに入れていたボールにサインをもらい、翌年からスポーツ紙への就職が決まっていることを伝えた。

 もしや取材現場で再会できるかも。淡い期待を持っていた。だが、運良く数年後に同氏と再会することになった。

 毎年恒例のサントリードリームマッチで「モルツ球団」を取材した時のことだ。早速、バース氏を直撃し学生時代の空港でのエピソードを話してみた。

 すると「関西空港だね。スポーツ紙の記者になると言っていた大学生か。お互い少し歳を取ったけど元気で再会できてうれしいよ」と覚えていてくれたのだ。

 神戸・三宮にかつて存在したスポーツバーはバース氏の行きつけだった。オーナーは楽天球団初代GMだったマーティ・キーナート氏。同氏は「必ず日本で成功するとは思っていたが、あそこまでやるとは思ってなかった」と当時の活躍に驚いていた。

 バース氏が来日する前年、1982年に米国で行われたウインターミーティングでは、日本へ移籍する可能性のある有力選手としてオンリストされていた。そこには阪急入りするのちの3冠王・ブーマー氏の名前もあった。

 その当時を知る関係者は「日本への移籍市場に出てくるバース、ブーマーの両名。この二人は『suburb(サバーブ)』というニックネームで呼ばれていた。この単語は『郊外』っていう意味でね。つまり打球を街の外れまで飛ばしてしまうということなんだ。そういう会話も懐かしいね」と振り返る。

 神戸の街を愛していたというバース氏。長い時を経ての殿堂入りを当時を知る関係者たちも喜んでいる。