武藤敬司の化身、グレート・ムタが世界最大のプロレス団体「WWE」(米国)で殿堂入りを果たし、プロレス界で話題になっている。

 日本出身レスラーとしては2010年の故アントニオ猪木さん、15年の藤波辰爾、20年の獣神サンダー・ライガーに続く快挙。だが、ムタの殿堂入りが3人のレジェンドと大きく異なっている点は、ムタも武藤もWWEマットに参戦経験がないということだ。

 猪木さんと藤波は、WWEの旧名称「WWF」「WWWF」時代に参戦しており、同団体の名を冠したベルトも獲得。米WCWで活躍したライガーも、15年にWWEの「NXT」ブランドに出場した。ムタが人気を集めたWCWは01年にWWEに買収されており、その〝歴史〟もWWEに吸収された形になっているとはいえ、異例の殿堂入りであることは間違いない。

 ムタのWWE殿堂入りを先んじて報じた米スポーツ専門局「ESPN」も「グレート・ムタは厳密には、WWEで活躍していたことはない」と指摘。その上で「しかし彼の業績と神秘性は、世界最大のプロレス団体によって永遠に不滅のものとなる」と伝えていた。

 WWEの公式ホームページでも「ザ・グレート・ムタ」が全日本プロレス、新日本プロレス、ノア、WCWなどで活躍してきたと紹介。WWEにもたらした「レガシー(遺産)」としては、ムタロック(鎌固め)、シャイニングウィザード、毒霧噴射など現在のWWEマットで使われている技の「考案者」だとし、今年1月1日にノア日本武道館大会で行われた現役WWEスーパースター・中邑真輔との名勝負も「最後の試合」として伝えている。

 WWEマットに参戦歴がなくても、世界のプロレス界にもたらしてきた圧倒的な影響力を評価されての殿堂入り。ムタ=武藤の功績は団体の枠に収まらないということだろう。