第5回WBCがいよいよ開幕。栗山英樹監督(61)率いる侍ジャパンは、9日の中国戦(東京ドーム)から、3大会ぶりの世界一を目指した戦いがスタートした。なかでも開幕戦で二刀流先発する、メジャーMVP男・大谷翔平投手(28=エンゼルス)に大きな注目が集まっているが…。本紙専属評論家の伊原春樹氏は「大谷依存は危険」とし、栗山監督に緊急提言を放った。

【新鬼の手帳・伊原春樹】日本中がWBCの話題で盛り上がってきましたね。私も身近な野球好きの人たちから「大谷はすごいね」「日本は世界一になれるんじゃないの?」などと、聞かれることが増えています。

 確かに大谷はすごい。メジャーという最高峰の舞台で活躍するトップレベルの選手が、日本代表として戦うわけですから、本当に楽しみです。私が巨人の監督代行を務めた2009年のWBCで、イチローが宮崎キャンプにきたときのことを思い出します。ファンの熱気はあの時と同じぐらいじゃないでしょうか。

 ただ、私は身近な野球ファンに、こう答えています。「大谷はすごいけど、大谷よりすごい打者は日本にたくさんいますからね」。そう言うとたいていは驚かれるんですけど、打撃技術という点で見れば、村上(ヤクルト)のほうが、大谷よりも全然上。これは指導者経験のある人だったら分かることだと思います。

 そんなこともあって、大谷ばかりが騒がれる今の状況は、私はあまり快く思ってはいないんです。栗山監督は大谷に投げて、打ってのフル回転を期待しているようですが、大谷ばかりに負担がかかるのは、チームとしてよろしくない。打者・大谷の代わりは村上、岡本(巨人)、山川(西武)ら、いくらでもいます。アグー(山川)は「マジで野球やめたいです」「同じ競技をやっているとは思えない」なんて言ってるらしいけど、卑屈になることなんか全然ないですよ。

 大谷が投げるときは打席に立たせなくてもいいぐらいで、それこそ大谷以外の選手が力を発揮できるような選手起用をすべきであって、そもそも「ただ打って勝つ野球」を日本は目指してはいけないと思うわけです。

 一発勝負の短期決戦。日本の強みは「1点をしっかり取りにいける細かい野球」だったはず。1番を任せるヌートバー(カージナルス)にそうした日本の野球ができるのか。そして2番は近藤(ソフトバンク)で適任なのか。私には疑問に思うことがたくさんある。

 足とバントをつかって確実に点を取りたいときに、それをできる選手がいるのか。代走の周東(ソフトバンク)はもちろんいますが、スタメンの1、2番に小技ができる選手を置きたかった。強化試合を見たところ、ヌートバーは緩いボールへの対応に難がありそうでした。結果が出なかったら、昨季から変化球が打てるようになって、素晴らしい選手に成長した牧原大(ソフトバンク)にスパッと代え、2番には何でもできる源田(西武)を入れるなど、栗山監督の好みとかではなく、「勝てる采配」をしてもらいたいものです。

(本紙専属評論家)