第5回WBCに臨む侍ジャパンの村上宗隆内野手(23=ヤクルト)が、7日に行われた強化試合・オリックス戦(京セラ)の初回に〝1号3ラン〟を放った。このところ湿っていた打棒から待望の一発が飛び出したことは朗報だが、その後は3三振、遊飛に倒れるなど、まだ〝全開モード〟とはいかない様子。最後の強化試合で4番から6番に〝降格〟となった侍主砲には、本番での復調を促すべく大谷翔平投手(28=エンゼルス)との「超融合」を求める声が強まっている。

 久々に「村神様」が降臨した。初回二死一、二塁の場面、相手先発・東が投じた低目の150キロ直球をとらえると左中間スタンドへ。ここまでの強化試合は全5試合で4番を務めてきたが、16打数2安打で本塁打なし。本番を前にした最後の実戦で6番となり、その第1打席でいきなり逆方向へ〝意地の豪快弾〟を叩き込んだ。「今シーズン初ホームランです。ホームランを打った後の走り方を忘れていました。ちょっとほっとしました」とちゃめっ気たっぷりなコメントを発した。

 ただ、その後は3打席連続で三振に倒れるなど快音は聞かれずじまい。終わってみれば、安打は初回に飛び出した本塁打のみだった。試合後の栗山監督は村上の一発について「本当にシンプルにうれしかった」とし「これだけの打者、3冠王の打者なのでね、必ず(WBCが)始まったら打ってくれると信じている。いいきっかけになると信じている」とも続けた。

 本番前のラストゲームで4番に吉田を据え、それまで主砲の座を任せていた村上をクリーンアップから外すなど、打順を組み替えたことについても、栗山監督は「いろんなところを皆は打てるはずなんでね。逆に試合に勝てるような打順を僕が間違えないように組めるようにしっかり考えていく」と述べるにとどめた。とはいえ、村上の6番起用はあくまでもテストケースであり、9日に初戦を迎えるWBC1次ラウンドでは4番・村上を基本線として貫く構えのようだ。

 そんな「侍の主砲」として完全復調が待たれる村上に対しては「大谷との距離感こそがキーポイントになる」と注目されている。3日から代表に合流した大谷を前に村上は「すごい刺激になっている」と言いながらも、やや〝及び腰〟になっている感はどうしても否めない。4日の強化試合・中日戦(ナゴヤドーム)開始前の練習で大谷が行ったフリー打撃を目にした際には「初めて見たんですけど、すごかった。言葉が出ないというか、初めて感じたことがいろいろありました」と目を丸くしながらコメント。チーム周辺からは「さすがの村上も大谷の前ではいつものふてぶてしさがなく、まるで〝借りてきた猫〟みたいにおとなしくなってしまっている」との指摘もある。

 2021年8月の東京五輪ではチーム最年少ながらも、米国代表との決勝戦でソロ本塁打を放つなど金メダル奪取に大きく貢献。21歳の若さだったにもかかわらず、同じチームメートだった鈴木誠也(当時・広島)や吉田正尚(当時・オリックス)らの先輩強打者たちを前にしても臆することなく、堂々とバッティング談義を交わすなど、そのずぶとさが「大したもんだ」と評価された。

 そうした経緯もあって当時を知るチーム周辺の関係者からは「東京五輪での村上は、いい意味で大先輩たちに対しても遠慮がまったくなく『自分はこう思うんですよ』『いや、それは間違っています』など自分の考えをズバズバ言っていた。重圧のかかる代表の中でも本来の力を発揮できていたのは、そこがポイントだったと思う。今や村上だってNPBの若きレジェンドなんだし、何も大谷に遠慮することはない。いつもの村上らしさを貫き、それこそ大谷にツッコミを入れられるぐらいに距離感を縮められれば…。本来の力を発揮できるようになるのでは」と指摘する。

 この日の試合後、村上は「大谷から何か助言は?」との質問に対し「いや特に話はしていないです。『ナイススイング』とすごく前を向かせてもらえますし、すごくプラスな言葉をかけていただけるので、よし次は僕も頑張ろうというふうに思ってます」とコメント。確かにいつもの〝らしさ〟とはちょっと違うような気もするが…。

 そもそも大谷は、まだチームに合流したばかり。やはり打ち解けるまでには、もう少し時間が必要ということなのかもしれない。