【今村猛 鉄仮面の内側(最終回)】 思えば野球のおかげで楽しい人生を歩ませてもらっています。少年野球の時代から振り返ると人生の3分の2を野球に費やしてきたことになります。

 高校時代には1試合23奪三振なんて試合もあったり、このゲームは確か1時間を切る試合時間だった気がします。本当に楽しくやらせてもらいました。

 そこからプロに入って故障も経験しました。セットアッパー、クローザーの役割で連覇を経験したころには、実は右手人さし指の血行障害に悩まされていたんです。

 手術するまでにはいかなかったんですが夏場、指に血の気がなくて冷たくなっていました。今はもう大丈夫だと思いますけどね。

 病院に行って診断してもらいましたが、投げられるようなら投げていいよという状態。でも、指が明らかに真っ白だったんです。

 人さし指がそんな状態でどうやって投げていたかというと、中指だけでも投げられたんですよね。

 指は冷たいけど投球の感覚はそんなに悪くなかった。実際、あのころは結果も残せていましたし、けがに強かったんですかねえ。

 それぐらい体を追い込んでいた世界から今は完全に別世界ですね。こんな時間まで寝てていいのかなと思っても、誰にも怒られることもないですしね。

 どんな表現をすればいいのか思いつかないですが、今はプロ野球選手のセカンドキャリアと言われる期間の真っただ中にいる感じです。

 これからの時代は、プロ野球選手が引退したらこうなるんだよっていうのに関して、もっともっと多様化していくと思うんです。自分がそうなれるかはまだ分からないですが、なんか新しいモデルケースというか、そういう一つの例になれたらと思っています。

 こんなの自分の口から言いにくいんですけどね。それでも、引退後の生き方に関して何かちょっと後輩たちに一つの道を作ることができるような存在になれたらなと、思っています。まだまだ何もできてませんけど、そう思っています。

 ジャンルは違いますがアイドルという概念も昔に比べるとずいぶんと変わってきています。手の届かないスーパースターにあこがれた時代から、今は会いに行けるアイドルを推すみたいなイメージです。

 野球選手とファンの方々の距離感も少しずつ変わってきていると思うんですね。大昔の大スターの時代とは変わってきているはずですから。

 有名人のSNSにダイレクトでメッセージを送ることができてしまう世の中なんです。もちろん、ネット上でのリテラシーにのっとって常識の範囲内での距離感を保ちながら、ファンの方々ともコミュニティー構築していければとも考えています。

 いろんな人の助けを借りて、リスク分散、多角的分析を交えてビジネスを構築していく。そんなことができたらカッコ良いんですけどね。何をするにも人の力を借りなければ成り立ちません。これからも応援よろしくお願いいたします。最後まで読んでいただいてありがとうございました。 (終わり)