次のステージは世界だ。第99回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の復路が3日に行われ、駒大が10時間47分11秒で2年ぶり8度目の総合優勝。チーム史上初となる大学駅伝3冠に輝いた。大八木弘明監督(64)は3月限りで退任し、総監督に就任する意向を表明。大黒柱・田沢廉(4年)との二人三脚で世界を目指すことになった。日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦氏(66)も日本長距離界のエース候補の田沢に熱視線。マラソンでの2024年パリ五輪挑戦を提言した。

 王者が貫禄を示した。往路Vの駒大は、この日の復路も6区山下りで伊藤蒼唯(1年)が区間賞を獲得するなど、各選手が安定した走りを披露。最終10区の青柿響(3年)が先頭でゴールテープを切った。胴上げで3度宙に舞った大八木監督は「選手たちには感謝しかない。本当によく箱根駅伝を走ってくれた」と万感の思いを口にした。

 昨年4月に、4年生たちが「3冠を取りたい」と直訴。選手の思いを感じ取った大八木監督は「私もそういう気持ちで今年1年やらなくてはいけない」とチームづくりを進めてきた中で、核となったのはやはり田沢だった。駒大は〝平成の常勝軍団〟として数々のタイトルを手にしてきた一方で、18年大会ではシード落ちを経験した。その苦しい時期を経て、田沢が2年時の21年大会で13年ぶりの総合優勝を達成。今季は絶対的な存在として、史上5校目の大学駅伝3冠に大きく貢献した。

 見事な復活劇に、陸上関係者は「田沢君が入って駒大は変わり始めた。強い選手が来ると、上級生も負けられないという気持ちになるし、田沢君の学年が上がると、田沢君に憧れて有力選手が入ってくる。田沢君が駒大を復活させたと言ってもおかしくない」と指摘するほどだ。

 大エースは卒業後もトヨタ自動車で競技を続けていくが、4月以降も駒大に拠点を置いて大八木監督の指導を受ける。田沢は「目標は世界選手権、五輪の日本代表。最終的に五輪でマラソンに出て結果を残す。一つずつ階段を上っていきたい」ときっぱり。大八木監督も「世界選手権、五輪に出て入賞争いができる選手にしたい」とまな弟子のさらなる飛躍を後押しする構えだ。

 今後の田沢は、直近の23年世界選手権、24年パリ五輪の1万メートルで日本代表を目指す青写真を描いている。ただ、その素質を高く評価する瀬古氏は「次の五輪ではマラソンで代表を狙ってほしい」と〝マラソン直行〟をズバリ提言。その上で「次の五輪、その次の五輪でどういうふうになっていきたいかを考えながら先を見てほしい。箱根駅伝は学生の大会ですし、こういう大会で活躍するのは当たり前の話。世界をいつも頭に入れながら練習、試合に出てほしい」とアドバイスを送った。

 箱根駅伝創設の理念は「世界に通用するランナーの育成」。最後の箱根路で最高の結果を残した田沢と大八木監督は、偉業を置き土産に、新たなステージへ足を踏み入れる。