崖っ縁からの帰還だ。 故アントニオ猪木さん(享年79)の追悼イベント「INOKI BOM―BA―YE×巌流島in両国(猪木祭り)」(28日、東京・両国国技館)で、元幕内貴源治の貴賢神(25)が、悲願の格闘技初勝利を挙げた。

 2021年9月に不祥事で日本相撲協会を解雇され格闘家に転向も、格闘技イベント「RIZIN」で2連敗を喫した。今回は相撲流の押し出しが認められる「巌流島ルール」で、相手は「ミスターX」として登場したベテラン格闘家のジミー・アンブリッツ(45=米国)。どう見ても圧倒的な有利の中、試合が始まると貴賢神は一気の押し出しでアンブリッツを場外に転落させた。

ジミー・アンブリッツ(左)を場外に押し出した貴賢神
ジミー・アンブリッツ(左)を場外に押し出した貴賢神

 さらに「位置の取り合いで相手の体を開かせた」というプラン通り、アンブリッツを〝土俵際〟に追い詰め、手も足も出ない相手を押し出し。最後も押し出して1R44秒、あっさり一本勝ちを収めた。

 試合後の貴賢神は「2連敗して崖っ縁だったんで。(巌流島ルールのため)MMAのレコードに載る載らないは別にして、ここで負けたら終わりだなと思っていた」と安堵の表情。「ルールで押し出しが使えるので、使わない手はないなと」となりふり構わず自身の特長を生かした。

 会場の両国国技館には相撲協会を解雇されてから、初めて訪れた。「タクシーで会場に来る際、泣きそうになった」と言い「自分は両国で戦うことないと思っていたので、完全燃焼で終わって感慨深い」と胸中を語った。来年はRIZINでMMA初勝利を目指す。