今季もリーグ優勝を果たしたヤクルトが、ドラフト1位で指名したのが最速153キロ右腕・吉村貢司郎(24=東芝)だ。大学、社会人2年目で二度の指名漏れを経験したが、その後も着実に経験を積み「即戦力ナンバーワン投手」と呼ばれるほどに腕を上げた。そんな吉村の成長を間近で見守ったのが東芝硬式野球部で投手コーチを務めた元日本ハムの新垣勇人氏(37)。吉村のこれまでの歩みと素顔を聞いた。

 ――新垣氏から見る吉村の一番の武器は

 新垣 やっぱりまずストレートの強さとフォークの落差だと思います。フォークで空振りが取れるので、決め球として大きい武器になるんじゃないかな。

 ――手足を振り子のように振って投球動作に入る〝振り子投法〟が特徴的だが

 新垣 振り子投法自体は元東芝野球部の中野コーチ(現青学大投手コーチ)が「一回リズム変えてやってみたら」って提案して、できあがった。前のフォームよりリズムが良くなって、その感覚を吉村がつかんでいった。

 ――才能開花のターニングポイントは

 新垣 彼が一番最初に入ってきた時は体が開いていて、基本的に真っすぐがシュートしていた。「まずこのストレートを直していかないといけないよ」って。それでも最初、彼は「絶対シュートします」って言ってたんですよ。プロで活躍してる投手はそこを特長にしてる人もいるかもしれないですけど「お前(吉村)みたいな投手はもっといい真っすぐが投げられる」って伝えた。そこから下半身のトレーニングに取り組んでちょっとずつ、1年ぐらいかけて、去年(2021年)のドラフトで指名漏れしたぐらいに安定した。その期間がターニングポイント。

 ――休日返上で練習に付き合った

 新垣 そうですね。まだ僕も彼も1年目、2年目で、僕はキャッチャーに慣れてない時期だった。140球くらい捕ったんですよ。めちゃくちゃ球速いから、何回も突き指した。でも、本当に彼、目的が明確というか。本当に熱心なので。そこは練習に付き合いました。

 ――練習量がかなり多かった

 新垣 ボールをとにかく投げてましたよね。本当、ボール投げるの好きで「ネットスローとかキャッチボールやりましょう」とか言ってきてくれてたんだけど、4日、5日続けて投げてしまうから「それはこっちでやめようぜ」とか話することはありました。

 ――会見ではすごく真面目な印象だが、普段は

 新垣 そうだね。特に野球に関しては本当まじめな選手。ただ一つだけね、すんごいマイペースなんですよ。朝ごはんも、食べる時間とかめちゃくちゃ遅かった。常になんか寝ぐせ立ててるし。「食べるの遅くない? もっと準備やることあるでしょ」って何度も言いましたよ。まぁ、いいところでもあるね。自分のペースで投げることができるし。

 ――意外な一面

 新垣 すごいのほほんとしている。ある意味、プロ向きの性格じゃないですかね。あと投資とか株の話好きでしたよ。株? 金融系? 結構、聞いてきてましたね。お前そんなこと興味あんの!って思いましたね。円安、円高とか、ドルのこととか話してくるから。あんな子がこんな話できるんだって。

 ――毎日文通していたというが、一番印象に残っている内容は

 新垣 僕は朝ごはんのことは結構突っ込んで書いてましたね。「お前また最後まで残って食べてたな」とか。でも、そういえば、しばらくすると早く食べるようになってたな。

 ――最後にこれからプロで奮闘する吉村にエールを

 新垣 球界を代表する投手になってほしいです。ヤクルトにいい投手たくさんいますけど、ローテーションには入ると思うのでそこからですね。エースになってほしい。