新日本プロレス11日姫路大会「ワールドタッグリーグ(WTL)」公式戦で、グレート―O―カーン、アーロン・ヘナーレ(30)組が棚橋弘至(46)、矢野通(44)組を処し、事実上の全勝優勝に等しい5勝目をあげた。

 プロレス史上最強タッグチームの呼び声高い2人は、今リーグ戦でも大本命中の大本命と目されていた。ところが猿も木から落ちる、河童の川流れ、弘法も筆の誤り、キリンのつまずきの4連発によりここまでの戦績は4勝4敗。偉大なオーカーン組が優勝決定戦(14日、仙台)進出を逃すという、にわかに信じがたい大波乱のリーグ戦となっている。

 品性下劣なヤンキーファッションに身を包んだ「トオルとヒロシ」とは対照的に頭脳明晰にして冷静沈着なオーカーンは、敵軍の同士打ちを誘ってから棚橋にパンケーキホールドを決める。非の打ちどころのない攻撃を繰り出すその姿は、もはやどこからどう見ても正義の味方だ。

 完全無欠のオーカーンはシーズン56号目前のヤクルト・村上宗隆ばりに警戒されたため、代わりにヘナーレが狙われる展開に。長時間にわたって敵軍の集中砲火を浴びたヘナーレだったが、帝国の一員としての意地で3カウントだけは許さない。限界ギリギリのヘナーレを支えているのは――自分のためにオーカーンが棚橋を押さえていてくれる…カバーされてもオーカーンがカットに来てくれるはず…という信頼――。ヤツは今赤んぼのように味方を信頼しきることでなんとか支えられている…。

 オーカーンのおかげで反撃に転じる力を得たヘナーレは、矢野にランペイジをさく裂させて形勢逆転に成功する。ヘナーレが矢野を担ぎ上げると、オーカーンは「俺が来るまでよく堪えた。後は任せろ」とばかりにロープに走り、ついにインペリアルドロップ(合体式カッター)がさく裂。他の誰かのために120%の力が出せる…それが連合帝国の強さだ。

 有終の美を飾ったオーカーンは「余はこのワタリ中でも、リング内外問わず、数々の偉業を成し遂げてきた。ツイッタートレンド大賞にノミネート! プロレス流行語大賞史上初の2連覇! にじさんじ所属の超人気VTuber舞元啓介と同盟を結んだ。書籍『帝国書記官のおしごと』はアマゾンランキング1位、ツイッター話題の商品ランキング1位、楽天ブックス1位…を取ったと言っても過言ではない」と自身の圧倒的発信力を誇示。

「数々の偉業を成し遂げてきた余についてくりゃ間違いはねぇから! ワタリも余の指示に従うオージー・オープン(マーク・デイビス&カイル・フレッチャー)が必ず支配する。今後もますます連合帝国の勢いが楽しみだなあ!」と、さらなる繁栄を予告した。

 結果的にリーグ戦は5勝4敗で終了したものの、そもそもの実力やリング外での話題性を考慮すれば、事実上は全勝優勝も同然。シリーズ最終戦(14日、仙台)翌日の12月15日は国民の休日に制定され、主要テーマパークや娯楽施設への入場料も無料になってしかるべき、と言っても過言ではない気がする。