その心意気は必ず結果に結びつくはずだ。ソフトバンク・田中正義投手(28)が来季の先発枠入りを目指して宮崎秋季キャンプで精力的に汗を流している。17日のブルペンでは周囲の視線を独り占め。ショットガンのような真っすぐにカットボール、カーブ、フォークを交えて106球。藤本監督が打席に立ち、新任の斉藤投手コーチが球審目線で球筋をチェック。さらにパドレスから派遣されているマッカーシー投手コーチは真後ろから動画撮影するなど、最速156キロ右腕にくぎ付けだった。

 今季は先発枠の有力候補だったが、開幕直前に右肩痛で離脱。8月半ばから中継ぎで5試合に登板して防御率0・00ながら、2016年ドラフトで5球団が1位指名で競合した逸材は未勝利のままだ。

 誰よりも「変化」を求めていた田中正は、実はこの秋に異国への武者修行を計画していた。大物大リーガーも参加するドミニカ・ウインターリーグ参戦。最終的には諸事情により見送る格好となったが、19年オフにプエルトリコで経験した球団派遣ではなく、自費参加するつもりでいたところに真剣さと来季にかける意気込みが表れている。

「ドミニカはレベルの高いリーグだからこそ、結果を出さなければ出番をもらえず、すぐクビになる。そういう環境で場数を踏みたいと思ったんです。一軍で抑えるために自分に足りないものが何かは分かっている。来年に向けて、実戦を厳しい環境でやりたかった。技術の向上ももちろん重要ですが、精神的なタフさももっと欲しい。ドミニカに行けば足りないものを埋められると思ったんです」

 度重なる故障もあり、一軍に定着できないシーズンが続く。強い体を手に入れることはもちろんだが、一軍でパフォーマンスを発揮してこそ、との思いは年々強くなっている。身銭を切ってでも行きたかった理由は明確だった。もがき続けてきた未完の大器は、確実に前進している。