むしろ警戒しているのは〝仙台のマスター〟の方だ――。ソフトバンクが楽天の電撃トレードに気をもんでいる。宮崎秋季キャンプ休日の15日のことだった。球界に激震が走った楽天・涌井秀章投手(36)と中日・阿部寿樹内野手(33)の交換トレード。休日明けとなった16日に聞こえてきたのは、鷹陣営の不穏な声だった。
現場首脳陣は「むしろ、あっちの方がいい補強だと思う。特にウチは阿部に交流戦でやられているからね。球界を見渡してもいい右打者で、ウチにとっては嫌なイメージのある打者。オリックスの森よりも気になる」。なじみのないセ・リーグからやってくる実力者というだけではない。直近の「鷹キラー」ぶりが脳裏をよぎっていた。
今季交流戦の対戦打率は3割6分4厘、昨季に至っては4割2分9厘。この日、国内FA権を行使した西武・森友哉捕手の獲得を正式に発表したオリックスの補強よりも警戒感は明らかに大きかった。
森のオリックス加入に関して感想を求められた藤本監督も「欠点はある。打つ方に関しては嫌な打者だけど、捕手に関してはそんないやらしさはない。偏るリードがあるとか、内角は攻めるけど意味あって攻めているのか。そういうところもこっちは考えられるからね」と早くも〝先制口撃〟を仕掛けるほどだった。
来季も覇権を争うことになる王者だけではなく、戦力が充実している楽天は毎年警戒している相手。そこに阿部が加わる。左打者の偏重傾向が強い楽天に、分の悪い右の好打者が入るとなれば身構えるのもうなずける。
中日時代「マスター」の愛称で親しまれた阿部。岩手出身で地元東北でのプレーに燃える〝仙台のマスター〟は、鷹にとって厄介な相手となるのか。少なくとも同一リーグへのトレード加入の衝撃は、鷹にとって大きいようだ。












