岡田彰布監督(64)の15年ぶり指揮官復帰で沸いた阪神の秋季キャンプもあとわずか。連日、二遊間を中心とした内野守備陣の強化や、打線の中心となる大山、佐藤輝へのマンツーマン指導、キャンプ中盤まで「ブルペンでは直球のみ」といった投手陣への独自調整など〝岡田色〟全開で推し進めている。新政権で猛虎は何が変わり、どこを警戒すべきなのか。今季まで阪神の動向を追った複数のセのスコアラーに聞いた。

 複数のスコアラーが「阪神は確実に変わる」と断言しているが、これまでと大きく異なるのが選手に必要以上の〝忖度〟をしないことだと指摘する。

「はっきりとモノを言うよね。矢野監督だったら、佐藤輝の打撃フォーム修正についても『こうしたら?』って提案型のもの言いになるんだろうけど『そのグリップ位置じゃダメ』とか、三塁の固定起用も『こんなんだったら、分からんわ』とか。とにかく選手へのダメ出しの言い方にもグレーゾーンがない(笑い)」

 自軍のマイナス要素、ネガティブな類いの指摘でも、歯に衣着せぬ形でメディアに発信しているのを多くのスコアラーも確認している。その上で大山や佐藤輝、中野など今年までレギュラーだった面々にもズバズバと課題・修正点の発信を連発していることが特徴的という。

 とはいえ、このアプローチは若い選手にとって〝もろ刃の剣〟となる可能性も高いが…。「今の阪神には若い選手が多い。若いうちは、やるからには緊張感はあるに越したことはない。それが自分のためにもなる可能性が高い。レギュラーになって、それが何年か続けば、どこのチームでも、ある程度は自分のペースが許されるでしょ」。他球団007の多くは、将来的に息の長い選手になってほしいという願望を込めた〝昭和的指導〟と、軒並み好意的に受け止めている。

 さらに多くのスコアラーが「チームの浮上にかなり関連してくる」と重要チェック項目に挙げたのが、岡田新政権の〝目玉〟でもある新二遊間だ。

「2年連続で遊撃のレギュラーの中野を、あえて二塁に動かしたというのは大きなこと。これがどう出るか。新しい遊撃手に小幡なり、木浪なりが固定された後、1年間出続けられるだけの成績を出せるか? さらに言えば、中野には打力や脚力もあり、二塁に移ったことで、そっちへの影響はどうなのか? この部分は現状、まだコンバートに踏み切った岡田監督でさえも『成功』か『失敗』かを誰も言い切れない」

 大成功の可能性もあれば、新遊撃手も二塁コンバートの中野も〝共倒れ〟になるリスクもある新生猛虎の最注目スポット。ライバル球団の偵察部隊も球春以降は、息をのんでその動向を見守ることになりそうだ。