新日本プロレスの柴田勝頼(42)が、闘魂を胸に完全復活ののろしをあげた。4日(日本時間5日)の米国・AEWランペイジでオールアトランティック王者のオレンジ・キャシディに挑戦。敗れたものの約5年半ぶりのタイトルマッチで躍動した。柴田は本紙の直撃に応じ、再起の裏に10月1日に死去した師匠・アントニオ猪木さんの葬儀で抱いた決意があったことを明かした。
柴田は2017年4月両国大会後に急性硬膜下血腫と診断され長期欠場。米国・LA道場でコーチを務める傍ら復帰を目指してトレーニングを積み、今年の1月4日東京ドーム大会で奇跡のプロレス復帰を果たした。
約10か月ぶりの試合を終えた柴田は「悔しいですね、マジで。結果もそうだし、動き的にも反省点だらけ。やっぱり戦場に戻ってきたんだな、リングの上って特別なんだなって。うまくいくこともあればうまくいかないこともある。生きた心地をすごく感じました」と振り返った。惜敗したものの王座戦で堂々とAEWのトップ選手と渡り合い復調ぶりを証明した。
医師からの許可を得ているとはいえ、なかなか試合機会に恵まれなかった。「ずっとチャンスを狙ってました。日本で待ってたら一生来ないなと思って。今のやれる時期を逃したくなかった。今できる目いっぱいの試合をしたいので」。だからこそ自ら行動し、米国の地から再起の道を切り拓いた。「迷わずに行ったら、AEWのリングで試合してました」。文字通り、師匠の猪木さんが引退スピーチで朗読した「道」を実践した格好だ。
その決意は10月14日に営まれた猪木さんの葬儀の時に改めて固まった。旗揚げメンバーの勝久さんを父に持つ柴田は「ありましたね、いろいろ思うところが。自分は猪木さんがいなかったら、新日本プロレスがなかったら生まれてない。そういうレベルの話なんです。自分が存在する一つの理由が猪木さんだと気付いたんで。闘魂の火は消しちゃダメだと思いました」と明かした。
AEWでの試合で解説を務めたボクシング元統一ヘビー級王者のマイク・タイソンは、柴田の打撃に大興奮していた。柴田も会場であいさつし、握手した際にはその拳の迫力に驚いたという。「総合やってる時、すごくタイソンの映像見てたんです。尊敬してます。まさか怪我してから5年半後に米国で試合して、マイク・タイソンが解説してるなんて思ってもなかったですよ。頑張って生きてると、夢みたいなことって実現するんだなって」と声を弾ませた。
今後は未定だが、柴田は「近いうちに試合するんじゃないですか? 動き出しましたから」とキッパリ。闘魂を受け継ぎしザ・レスラーが、道を作り出すための大きな一歩を踏み出した。