匠の技を独り占めして「鷹のホットコーナー」を自分の城にする。左ヒザの大ケガから再起を図るソフトバンク・栗原陵矢外野手(26)。来季から守備位置を「サード一本」に絞ってレギュラー獲りを目指す副主将は、宮崎秋季キャンプで三塁守備の礎を築くことに余念がない。

 4日も前日に続いて個別ノックを受けた。「サードはほとんどやったことがない」という26歳にとって、地道な日々が続く。ゴロ捕球を繰り返す「基本的な練習」(栗原)。隣には今宮健太内野手(31)の姿が連日ある。鷹が誇る名手にワケを聞くと「自分から松山さん(内野守備走塁コーチ)にお願いしました。クリ(栗原)にアドバイスを送りながら自分も再確認できる。ここ何年かは〝超基本的〟なことをやってなかったんで。もう一回勉強のためです」と意図を明かした。

 そもそも秋季キャンプ自体が「免除対象」ながら志願参加の今宮が、真横にいる事実は栗原にとって大きい。「一つひとつの動き、ボールを捕る音、すべてがすごい。盗めるものがある」。左ヒザの状態はまだ7割程度の回復具合。制限のかかった中での練習ながら、来季開幕からサードを手中に収めようと意気込む26歳には充実の時間が流れている。

 栗原は三塁コンバートについて「ヒザのこともある。(退団した)松田さんの穴が大きいんで、その穴を埋めたいって思いがある」と自らの体とチーム事情を勘案しての決断だったと明かす。今宮は「クリはこっちに来て姿勢を見せている。その気持ちは十分に伝わる。捕ってしまえば安心できるレベルに到達する。基本的なことができれば応用はできる」と太鼓判を押す。

 かつて松田とともに5年連続でゴールデン・グラブ賞を獲得した今宮。なぜ、隣にいるのか――。栗原は名手からのメッセージを受け止めているはずだ。