日本シリーズ第2戦が23日に神宮球場で行われ、延長12回、3―3で引き分けた。パの覇者・オリックスが終盤までリードする展開も、セを制したヤクルトが土壇場の9回に追いつき、その後は両軍譲らず。対戦成績はヤクルトの1勝1分けとなった。本紙専属評論家の伊原春樹氏が、5時間3分にわたる熱戦のキーポイントと第3戦以降の注目点を指摘した。

【新鬼の手帳】5時間超えの死闘の末、3―3の引き分け。今年の日本シリーズは面白い。0―3の9回無死一、二塁からヤクルトの代打・内山壮が同点3ランを放ったのは見事だった。オリックス・中嶋監督は5回からリリーフ陣を惜しみなく投入して理想的な試合運びをしていただけに、ヤクルトにとってはまさに起死回生の一発となった。

 9回、マウンドに上がったオリックス5番手・阿部は2―2からの直球が高めに甘く入り、内山壮に同点弾を許したが、前の回のヤクルトの攻撃が9回反撃の流れを作ったように見えた。8回、4番手・ワゲスパックの前に山田、村上は簡単に凡退。だが二死からオスナ、中村の連打とサンタナの四球で満塁とした。長岡は三振に倒れて無得点に終わったが、あの回、簡単に攻撃が終わっていれば9回は下位打線から始まっていた。そうなっていれば9回の阿部はもう少し落ち着いて投げることができただろう。

 ただヤクルトの攻撃で気になることもあった。延長11回、先頭の代打・奥村が中前打で出塁したが、次の山田は初球を一邪飛。山田はここまでノーヒットでまったく当たっていない。あの場面はやはり送りバントだったのではないか。送っていればおそらく次の村上は歩かされるだろうが、二塁に走者がいればマウンドのオリックス7番手・比嘉には大きなプレッシャーとなっていたはず。日本シリーズではドロ沼にはまり、まったく打てないまま終わってしまう選手も出てくる。1、2戦の山田の打撃を見る限り少し心配な状況だ。

 オリックスの攻撃で第3戦以降、カギを握るのは5番を打つ杉本だろう。3回二死二、三塁、5回二死三塁の場面でヤクルトはいずれも4番・吉田正を申告敬遠。ヤクルトベンチは杉本との勝負を選択した。吉田正は球界でもトップクラスの好打者だけに作戦としては当然。ヤクルトベンチは今後もピンチでは吉田正を歩かせて5番打者と勝負してくるはずだ。

 5回二死一、三塁の場面で杉本はシュート、シュートで追い込まれたが、1―2からの4球目、外のスライダーを何とかバットに当ててボテボテの三塁内野安打で追加点をもぎとった。両チームとも投手陣のレベルは高く第3戦以降も接戦となる可能性が高いが、僅差の試合で勝敗を分けるのは本塁打となるケースがよくある。一発の破壊力ではヤクルトが上。チャンスで吉田正が歩かされた後、杉本がどんな打撃を見せるかがシリーズの注目ポイントとなりそうだ。(本紙専属評論家)