長い秋は父ちゃんの勲章だ。ソフトバンクは9日のクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ西武戦(ペイペイ)に8―2で快勝。2連勝でファイナルステージ進出を決め、シーズン最終戦で逆転優勝を許したオリックスへの挑戦権を得た。この日が誕生日の柳田悠岐外野手(34)が3回に満塁弾を放ち、第1戦に続くヒーロー。常勝軍団の主砲にして3児の父親でもある柳田の秋は、今年も長い――。

 この日もチームを勝利に導いたのは、頼れるキャプテンだった。3回二死満塁、打席には前日3ランを放っている4番・柳田。2球続いたスライダー、内角低めの難しい球をうまく拾って右翼席に放り込んだ。グランドスラムはファン、ベンチが望んだ最高の結果。歓喜の渦に包まれ、背番号9はさっそうとダイヤモンドを駆けた。

 喉から手が出るほど欲しい先取点を満塁弾でもたらし、チームを勇気づけた。打線は4回に甲斐の適時打で中押し。7回に2点、8回にも甲斐がダメ押しのタイムリーを放つ盤石の戦いだった。投げては先発・東浜が5回1失点の力投。6回からは大関―松本―藤井―レイとつなぎ、西武の反撃を許さなかった。

 屈辱的なV逸からチームを立ち直らせ、下克上日本一への道を切り開いた。これでむち打ち症状をおして出場を志願して以降、4試合連発だ。「今はまたイチからって気持ちです。今は今で良いメンタルで野球ができています」。

 9月に6発、今月に入って4発と量産している。夏から使用するバットは「松田宣浩モデル」と自身の旧来のモデルを掛け合わせたもの。グリップ部分に松田のエキスが注入され、バランスのいい相棒を見つけた。退団が決まった敬愛する先輩と〝ともに戦う姿〟はファンの心を打つ。

 10月9日は34回目のバーズデーだった。スタンドでは3人の子どもと夫人が観戦。一番上の長女は今年、小学生になった。秋は学校行事がめじろ押し。子ども好きの柳田は都合が合えば積極参戦を望んでいるが、常勝軍団の秋は長い。第一関門を突破し、熱い戦いはまだまだ続く。娘は父ちゃんの活躍を気にかけてチェックする年頃になった。次は、大好きな父ちゃんが大阪から大暴れすることを心から望んでいる。「帰ってケーキを食べたいな」。お誕生日会は大阪出陣を前にした〝決起集会〟も兼ねた。

 チームはこれでポストシーズン18連勝。藤本政権でも「短期決戦の鬼」ぶりは変わらない。どこよりも長いシーズンは勲章。10月末まで戦闘服を脱ぐつもりはない。秋にひたすら強い鷹を、柳田キャプテンが背中とプレーで引っ張る。