「世界の王」に並ぶ日本選手シーズン最多本塁打「55」をマークしたヤクルト・村上宗隆内野手(22)に、韓国がソワソワしているという。なぜなら「国民的打者」として国民の尊敬を集めている李承燁(イ・スンヨプ)氏(46)の大記録「56」が抜かれてしまう可能性があるから…。韓国メディアは村上が本塁打を放つたびに記事にするなど、敏感な反応を見せている。
李承燁氏が56本塁打を放ったのは2003年のシーズン。巨人・王貞治の55本塁打を抜き去ったことで、一躍同氏は国民的ヒーローとなった。
以降、同氏の「アジア本塁打最高記録」は韓国の誇りとなり、同氏の04年以降の日本球界での活躍(ロッテ、巨人、オリックス)もあって、その人気は不動のものとなる。巨人在籍時は第70代目の4番打者も務め、06年には41本塁打を放った。記録は13年に60本塁打を放ったバレンティン(ヤクルト)に抜かれたが、韓国内では、今も金字塔であることは変わらない。
「日本で言うなら国民栄誉賞をもらった長嶋さんや王さんのような存在。いや、韓国ではそれ以上、大統領と同じぐらいのVIPと言っていいかもしれません」と話すのは韓国球界関係者。現役引退後の18年には韓国野球委員会より「大使」に任命され、同年の平昌五輪では旗手の一人を務めている。
そんな英雄の記録が、日本の若きスラッガーに抜かれようとしている。朝鮮日報は15日に「村上が王貞治が1964年に記録した55本塁打と肩を並べた。李承燁が持っているアジア人選手最多本塁打(56本・2003年)にも1本差に迫った」と報じるとともに、村上の詳細な野球人生を紹介。なぜ〝村神様〟と呼ばれているのかも説明し、また村上の「丈夫な体に生んでくれた両親に感謝している」のコメントも。神宮球場での56号以降の本塁打には東京の家をプレゼントすることまで報じた。
前出の韓国球界関係者によると「そりゃあ、おだやかではいられないでしょう。韓国では若い人はともかく、年配層に日本を毛嫌いしている人がまだまだ多い。今の韓国プロ野球に、村上のような有望なスター選手がいないこともある。韓国にとって、喜ばしいニュースでないことは間違いないと思います」という。
もともと韓国は球場がそれほど広くないこともあり〝打高投低〟と言われ、打者が圧倒的な成績を残すことが多い。ただ、近年の韓国球界では40本塁打以上した打者が出ていないという現状がある。
今季の本塁打王争いのトップは33本塁打で朴炳鎬(パク・ビョンホ=KT)だが、現在ケガで離脱していることから「今年も本塁打王は30本台にとどまりそうだ」と書くメディアもある。
日本では話題になることがほとんどなかった「56」のマイルストーン。しかし、韓国にとっては重要な意味を持っているようだ。
【本紙評論家・伊勢孝夫氏が両者をジャッジ】
伊勢氏は巨人時代の李承燁氏を指導した経験を持つ。「韓国時代のスンちゃん(李承燁)はほとんど練習らしい練習をしたことがなかったそうで、東京ドームでの試合のときは、全体練習の前に個別で早出の打撃練習を一緒にやるのが日課だった。自分が打撃投手をやって、練習量はかなり積めたんじゃないか。なついてくれて『指導していただいたお礼です』と、ルイ・ヴィトンの靴や、4~5万円もするサングラスをプレゼントしてくれたこともあったね」
そんなかつての教え子と、今の村上を比較すると…。
「村上とスンちゃんは打席に立った時の雰囲気とか、よく似ていると思うよ。スンちゃんも村上と同じように逆方向へのスタンドに放り込むことができたし、引っ張り専門の打者ではなかった。気持ちが優しいところはあったけど、厳しい練習に耐えられる体の強さもあった。村上の練習量も相当なもののようだし、甲乙つけがたいが〝あの若さで…〟という部分ではやはり、村上でしょうね」と話した。












