まだまだ伝説の序章にすぎない。ロッテ・佐々木朗希投手(20)が22日の西武戦(ZOZOマリン)に先発し、7回3安打無失点、9奪三振で6勝目(1敗)を挙げた。さすがの「令和の怪物」も約1か月ぶりの白星に「ホッとします」と表情を和らげたが、メジャーのスカウトからは「2006年のダル超え」を期待されている。

 8回1失点だった11日のDeNA戦後に疲労を考慮して出場選手登録を抹消され、中10日の〝放牧明け〟だったのが功を奏したのだろう。

 初回先頭の源田に中前打を許して2度目の快挙への挑戦はあっさりと終わったが、その後は最速163キロの速球とフォークで圧倒。5月20日のソフトバンク戦から白星に見放されていた佐々木朗は、4試合ぶりの6勝目に「ここ何試合か、あまりいいピッチングができていなかった。絶対に勝ちたかったので、いいピッチングができてよかった。(中10日で)しっかり休んだのでストレートとフォークがすごくいいところに行ってくれたと思う。1か月勝てなかったので、ホッとしています」と実感を込めた。

 ここまで今季12試合に先発して81回を投げ、6勝1敗、防御率1・56。リーグ1位の114奪三振に対して与四球は12と少ない。4月10日のオリックス戦(ZOZOマリン)での完全試合達成に13者連続奪三振と球史に残るパフォーマンスを披露しただけなく、好調が一過性のものではないことも証明した。プロ3年目、20歳の右腕の規格外の覚醒ぶりには海外メディアも注目している。

 とはいえ佐々木朗は、まだ年間を通じて先発ローテーションで働いた実績がない。プロの先発投手としての〝証〟でもある規定投球回はクリアしておきたいハードルで、MLBのスカウトも「まずはNPBで1年間投げてみて、どんな成績が残るのか。それがあって初めて、我々も『FAシーズンを迎えたとき、どのレベルの投手になりそうか?』をイメージできるようになるし、将来の獲得候補者として、リポートすることになる」と佐々木朗の〝現在地〟を明かす。

 そんな中で今年の佐々木朗についてMLB関係者が〝理想のフィニッシュ〟に挙げるのが、06年のダルビッシュ有(現パドレス)だ。当時、日本ハムで高卒2年目。開幕から年間を通じて先発ローテを守り、25試合で149回2/3を投げ、初めて規定投球回を突破。2完封を含む3完投で12勝5敗、防御率2・89とトッププレーヤーの仲間入りを果たしたシーズンでもあった。

 ここまでの佐々木朗にとって、これは十分に到達可能な現実的な数値目標とも言えるが、前出メジャー関係者の〝真意〟は、その翌年にある。

「本当の意味でダルビッシュがスーパーエースになったのは07年。前年の数字も一流だったが、次の年はほぼ全ての項目でその上をいったからね」

 07年のダルビッシュは207回2/3を投げ、15勝5敗、3完封を含む12完投で防御率1・82。沢村賞の全項目をクリアし、パ・リーグMVPにも選ばれた。主要部門とは別に「フルシーズン投げてこれはすごい」とMLB関係者をうならせたのが与四球や被安打など「1イニングあたりで何人の走者出塁を許したか」を示すWHIPの数値で、同年のダルビッシュは0・83。一般的に1・20でエース格と呼ばれる指標で、前年の1・28から大きく数字を伸ばした。

 現在の佐々木朗のWHIPは0・73。これは完全試合だけでなく、次の登板となった4月17日の日本ハム戦で8回完全と〝無双〟だった時期を含めた値で、シーズンを通じて0・83だった07年のダルビッシュは〝年間無双男〟だったと言える。偉大な先輩の残した足跡が、将来的なメジャー挑戦を目指す上での道しるべとなりそうだ。