【赤堀元之 〝猛牛〟世紀末守護神(最終回)】 2021年の中日は5位に終わり、その年限りで退団。防御率はリーグトップだったし、やりがいはありました。日本シリーズは自分が指導したオリックスとヤクルトが出場し、高橋奎二とか教えた選手が活躍してすごくうれしかったですね。

 現役生活16年、最後の方はケガのリハビリが長く、優勝にも貢献できなかった。でも最優秀防御率を1度、最優秀救援投手を5度も獲得できて悔いはないです。05年からはオリックス、韓国、独立リーグ新潟監督、ヤクルト、中日と指導者生活も同じくらい長くやらせてもらいました。今は週末に関メディベースボール学院のコーチとして子供たちに教えるほか、オリックス戦のテレビ解説をやらせてもらっています。今後も選手が気持ちよくプレーできて、少しでもレベルアップできるようにしたい。優勝よりもみんなが楽しみながら成長してほしい。

 そういう意味ではアマチュアがやりがいあるし、プロでも二軍の若い選手を教えるのが面白い。野球人口も少なくなっているし、助けなきゃいけない。子供たちが勝ち負けばかり考えるようじゃダメだし、野球を楽しんで好きになって、高校に行って勝ち負けで生かされるような形になればいいと思っています。

 野茂英雄さんもアマチュアに力を入れているし、底辺を広げないと上ができてこない。今年はNOMOベースボールクラブの臨時コーチとしてキャンプにも行きました。社会人野球の試合は見に行けなかったですけど、これからも協力したい気持ちでいます。

 僕は投手として脱力感を持ちながら投げてきた。口うるさいコーチがいなくて環境に恵まれていた部分もあって、フォームも気持ちもゆったりしながらやってきた。確かに高校野球も強いチームは厳しい練習をやってきているし、結果を出すと大阪桐蔭みたいにいい選手が集まってきます。でも最近はコロナ禍で練習が十分にできず、自宅で考えた個人練習に取り組む時間が増えていると思うんです。頭で考えて自分の課題に取り組むことが成長につながる。

 勝ち負けも大事だけど、厳しくしすぎたり、中学校、小学校からそんなだと、野球をやりたい子供がいなくなっちゃう。厳しさより楽しさが上にこないとダメ。「必ずこれをやりなさい」だと練習もおろそかになって途中で挫折することになるかもしれません。
 楽しむという気持ちはプロになっても絶対にあった方がいいし、勝負だけじゃダメ。厳しい中でもリラックスして楽しむことが大事です。リリーフは1球の失投が命取りになるケースもあるけど、僕は「点を取られても負けなけりゃいい」と思って投げていました。2点差なら同点になってもいい、くらいに思ったら楽にできる。脱力投球術ですよ(笑い)。少年野球も勝つことだけじゃなくてのんびりね。(終わり)

 ☆あかほり・もとゆき 1970年4月7日、静岡県藤枝市生まれ。静岡高のエースとして2年夏に甲子園に出場し、88年のドラフト4位で近鉄に入団。リリーバーとして頭角を現し、4年目の92年に最優秀救援投手と最優秀防御率をダブル獲得。92~94年、96~97年と5度の最優秀救援投手に輝いた。その後は故障に苦しみ、2004年に引退。指導者としてオリックス、ヤクルト、中日、韓国SKで投手コーチ、BCリーグ・新潟で監督を務めた。22年から関メディベースボール学院でコーチをしながらテレビ解説者としても活躍している。