共同通信社が第2次岸田改造内閣発足を受けて10、11両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党国会議員との関わりについて、自民や所属議員の「説明が不足している」との回答が89・5%に上った。
特に現役の信者を抱える家族や元信者らの中には、政治家たちが“広告塔”のごとく関係を持っていたことに憤りを感じる人は少なくない。一度、入信してしまえば脱会までに想像を絶する労力を家族が要するからだ。
悪徳商法や詐欺被害の専門家として数々のメディアで活動する多田文明氏も、かつて入信・脱会の経験を持つ。
「私は学生時代の1987年に誘われて、行った場にいたのがほぼすべて旧統一教会の信者。スポーツを楽しんだ後、『自己啓発もある』と連れて行かれた場で就職不安をあおられ、国際人にならなければいけないと。『世界で一番読まれてる本は聖書だ』と言って見せられたのが、旧統一教会の教義を教えるビデオでした」
多田氏によれば、旧統一教会の怖さとは正体を隠して近づいてくることだという。
「正体を明かすのは、その人が霊界やサタンを信じて信仰しなければいけないと思うようになってから。そうなった時には脱会という選択肢を持てなくなっている」
多田氏は約10年間、旧統一教会の信者として活動し、霊感商法などにも関わったが、その間に幾度となく疑問を持つことがあっても「教団への批判はサタンに取りつかれているからだと教えられていた」。そのため背信行為と思ってしまい、何もできなかったという。
転機が訪れたのは旧統一教会の命令により地元に戻って活動をしていた96年のことだ。
「僕が幸いだったのは、家族や親族たちが諦めずに僕を脱会させようとしてくれたこと。叔父は仕事を辞めてまで僕を脱会させようとし、学校の先生までもが説得に来てくれた。最初は『サタンに取りつかれた人たちが何を言ってるんだ』と思っていたが、何度も何度も説得を受けるうちに、僕のせいで家族が壊れていることを理解して徐々に脱会に向かっていった」
一度、入信してしまうと簡単に脱会できなくなるのが旧統一教会の問題点だ。その意味でも政治家たちが、「全然知りませんでした」とばかりに“広告塔”となってお墨付きを与えていた罪は、あまりにも大きい。