福岡県議会で正副議長ポストをめぐって金銭授受があったという〝カツアゲ〟疑惑で〝県議会のドン〟の注目度が全国的に高まっている。27日に疑惑を告発した吉松源昭県議が会見し、ドンこと蔵内勇夫議長について「福岡県政に混乱を招いた方」とキッパリ。とはいえ、ドンの退場なんて実現するのか。

 会見で吉松氏は中尾正幸前副議長から金銭を要求された時の音声データを鑑定したところ、中尾氏と同一人物の可能性が高いという結果が得られたと報告。編集や改ざんの痕跡もなかったと話した。

 また、同席した江藤秀之県議は副議長就任に際して「500万円がいると言われて、慣例と思い茶色い封筒に入れて中尾氏に渡した」と証言した。2人は蔵内氏に対して第三者委員会の設置を求めている。

 どうして金銭の授受が慣例になってしまったのか。吉松氏は「こういうことが起こった一番の原因は、権力の集中にあります」とし、蔵内氏が県議団会長、県連会長として約20年も福岡県自民党のトップにいたことを指摘。「この権力の集中が、今回の問題を引き起こした根源」と喝破した。

 さらに、蔵内氏という存在について「県政にとって大きな功績を残した方であり、晩年は大変、福岡県政に混乱を招いた方と思っています」と功罪を指摘した。

 金銭授受については渡された側は受け取りを否定している。しかし、金銭要求をしたとされた中尾氏は議員辞職を表明。蔵内氏は自身の進退について24日に「議会改革のPT(プロジェクトチーム)をまとめて、調査結果を踏まえて、われわれ県議会がどう変わっていくか示す時だ」と今すぐの対応は考えていないと話している。

 権力を握るドンを中心とした体制が変わることはあるのか。過去に議会のドンが話題になったケースに、東京都議会がある。かつて都議会には内田茂氏という〝都議会のドン〟がいた。内田氏相手にドン退治を行ったのが、小池百合子都知事だった。

 小池氏は2016年の都知事選に自民党東京都連の意に反する形で出馬を強行。自民党都連は元総務相の増田寛也氏を担いだが、小池旋風の勢いに乗り小池氏が当選。内田氏は都連幹事長だったが、責任をとって役職を辞めた。

 さらに、小池氏は都民ファーストの会という地域政党を立ち上げ、翌17年の都議選で候補者を擁立。小池旋風が続いていたこともあり、49人が当選。都議会第一党の座は自民党から都民ファに移った。すでに引退表明していた内田氏はこの都議選に出馬していないが、後継候補が落選している。

 都議会関係者は「地方議会のドンに対抗するには、小池氏のような存在が必要になるでしょう。圧倒的な力を持つ首長です。福岡に小池氏のような人物が現れると、議会の体質は変わるはずです。もっともそう簡単なことではありません」と指摘した。

 福岡県議会は県民の不信感をぬぐうことができるのか。