大手回転すしチェーン「くら寿司」が5日に人気漫画「ちいかわ」とのコラボ企画を中止すると発表したことが騒動となっている。同社は「コラボの早期終了に伴いお詫びの気持ちを込めて」として、6、7日の2日間、「レジにて全品10%割引いたします」と発表した。人気があり過ぎるがゆえの横領騒動だが、人気の秘密はどこにあるのか。
くら寿司では、食べ終えた皿5枚を回収口に入れるとゲームに参加できる「ビッくらポン!」の景品として、フィギュア5種類、缶バッジ8種類、アクリルマグネット8種類のちいかわグッズが手に入るコラボ企画を8月21日~9月30日まで実施する予定だった。
しかし、SNSで「フィギュアが出ない」と景品の取り扱いをめぐって不正を疑う投稿が相次いだ。フリマサイトに景品の出品があることも疑惑を加速させた。
これを受け、くら寿司は「『ちいかわ』コラボ施策に関する一部SNS投稿について」と題する声明を発表。「『ビッくらポン!』コラボグッズの不適切な取り扱いに関する投稿につきましては、当社として本件を非常に重く受け止めており、現在、事実関係の調査を迅速に進めております」と調査を明言していた。
5日には「弊社にて調査を進めた結果、同キャンペーンの実施に際し、当社の従業員による不正行為が判明した」として、「ちいかわ」コラボキャンペーンの中止を発表。従業員による景品の横領が判明する事態となった。従業員が転売ヤーだった可能性があるというのだ。
転売ヤーのターゲットにされるほど、ちいかわの人気は爆発している。7月24日に公開された「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ」は現在、興行収入120億円を超える大ヒット。5日からは入場者特典第4弾チャームミニフィギュアの配布がスタートし、SNSでは「島二郎が欲しい」などと盛り上がりを見せている。
漫画に登場する〝話題のラーメン屋〟をイメージした実店舗「ちいかわラーメン 豚」も池袋や渋谷のPARCOなどで期間限定オープンし、連日行列となっていた。
こうしたちいかわブームを独自の視点から分析しているのが海外メディアだ。中国紙「環球時報(グローバル・タイムズ)」は、中国の若者の間でちいかわが、心の痛みを和らげる「デジタル鎮痛剤」として人気を集めていると報じた。
一見するとかわいらしい世界だが、登場キャラクターは生活のために働き、資格試験を受け、失敗や貧富の格差、危険にも直面する。こうした設定が、就職難や仕事のストレス、将来への不安を抱える中国の若者から「自分たちの現実と重なる」と共感を集めているという。
また、台湾の経済誌「天下雑誌」は、大人まで引き付ける理由としてリアルな「社畜」設定を挙げている。IPマーケティングの専門家は、見た目がかわいいだけでなく、登場キャラクターが働いてお金を稼がなければ生活できないという世界観が、大人の共感を呼んでいると分析。「かわいいキャラクター」と「厳しい労働生活」「不条理な社会」のギャップが、子供だけでなく成人男女にも支持を広げたという。
アニメや漫画に詳しい関係者は「ちいかわは、見た目は幼児向けファンタジーですが、中身は大人の生活という二重構造になっています。そして、今回のくら寿司の騒動そのものが、どこかちいかわ的です。皿を5枚ずつ回収口に入れ、一生懸命〝当たり〟を待つ客がいる一方、その裏側では本来景品として提供されるはずのグッズを不正に持ち出す従業員がいた。小さな喜びを得るために頑張っていたところ、思いもよらない理不尽な事情に巻き込まれる。そんな展開まで、ちいかわの世界を思わせます」と指摘している。
コピーライターの糸井重里氏やお笑い芸人なだぎ武ら著名人も連日、Xでちいかわに言及するなどやはり大人もハマっている。まだまだ話題は続きそうだ。












